部活・サークル

2022年7月10日

【寄稿】東大オケ 日本全国5都市を回るコンサートツアーを7月末から開催

 今年も夏の公演がやってくる。公演の内容や意気込みについて、東京大学音楽部管弦楽団から寄稿してもらった。(寄稿=釣田夏凜、東京大学音楽部管弦楽団)

 

 東京大学音楽部管弦楽団(通称「東大オケ」)は、7月末から8月初旬にかけて、東京、千葉、兵庫、広島、愛知の5都市で「サマーコンサート2022」を開催する。

 

五月祭安田講堂での公演

 

 東大オケは、東大で唯一の東大生のみで構成され、100年以上の伝統を持つオーケストラ。NHK交響楽団奏者などトップクラスの指導者陣の下、日本各地の一流ホールで演奏を行う。学園祭や大学式典での演奏を任されている他、学校を訪問して子どもたちへの音楽の普及を図る音楽教室も行っている。コンサートツアーを行うアマチュアオーケストラは日本でも数少なく、まさに伝統と実力のオーケストラだ。

 

 その東大オケの公演が、今年の夏に各地で開催される。7月23日の東京公演から始まり、8月7日の広島公演で締めくくる。昨年予定していたサマーコンサートでの全国ツアーは、長野・東京公演を終えた後に団内にコロナ感染者が出たことにより、神奈川・大阪公演の中止を余儀なくされた。今年は、一昨年に全公演中止となったスプリングコンサートツアー、昨年中断されたサマーコンサートツアーを経て、3年ぶりの実施となる。悔しい思いをした分、今回の演奏会に懸ける団員の熱量は例年になく大きい。

 

 今回は、毎サマーコンサートで開催している東京・関西公演に加えて、千葉・愛媛・広島公演も行う。千葉の習志野文化ホールと広島の広島国際会議場フェニックスホールでは20年以上ぶりの公演、愛媛の西条市総合文化会館では初の公演となっており、訪れる機会が貴重なホールでも演奏できることを団員は心待ちにしている。5公演完走に向けて、団員一同意気込み十分に日々の練習に励んでいる。中でも愛媛公演について、担当外務の曽我美美郁(経済・3年)は次のように語る。

 

 「今回のサマーコンサートツアー4番目の都市として、故郷愛媛での演奏会ができることをとても嬉しく思います。当団での愛媛公演は11年ぶりです。特にメイン曲であるブラームスの交響曲第4番は、その11年前の愛媛公演のメイン曲でもあるので、私自身、不思議なご縁を感じています。穏やかな自然に囲まれる心地よさや、途中踊りたくなる明るさを思い浮かべるようなこの交響曲は、開催地である愛媛県西条市の豊かな自然や、うちぬきの清水に囲まれた風土、人々のにぎやかさにとてもふさわしい曲だと思います。他の2曲も「死」をテーマとしていますが、対照的に浮かび上がる生の喜びや美しさに触れられる素晴らしい曲です。プログラムを通じて、皆さんに多くのことを感じていただけるような演奏会にするため、団員一同日々練習に取り組んでいます。夏休みのおでかけにぜひ、サマーコンサート愛媛公演に足をお運びください!」

 

サマーコンサートの概要を掲載しているチラシ

 

今回披露する曲目は、

 

・リスト/交響詩『レ・プレリュード』

・リヒャルト・シュトラウス/交響詩『死と変容』

・ブラームス/交響曲第4番ホ短調

 

の3曲。夏の暑さを吹き飛ばすようなクラシックの名作揃いだ。「人生は死への前奏曲」というリストの人生観が表現された、緩急豊かな4部構成からなる交響詩『レ・プレリュード』、ある芸術家の死と浄化の様子が、リヒャルト・シュトラウスの卓越した管弦楽法によって描き出される交響詩『死と変容』、そしてブラームス自身が「自作で一番好きな曲」、「最高傑作」と述べた彼の最後の交響曲である、交響曲第4番。東大オケらしい、深く重厚なドイツ・ロマン派の響きで、全国の聴衆に感動を与える演奏会となるだろう。

 

コンサートマスターからのコメント

 

 東京芸術劇場での公演を皮切りに、千葉・兵庫・愛媛・広島にて開催する今年のサマーコンサートでは、ドイツ・ロマン派の時代を代表する3人の作曲家の作品を取り上げます。

 

 プログラム前半の2曲の交響詩は、どちらも「人生」と「死」を共通のテーマに持つ作品ですが、リストの『レ・プレリュード』は、死への「前奏曲」としての人の一生を壮大なスケールで描いています。一方のリヒャルト・シュトラウス『死と変容』は、死に際した主人公の病魔との戦いや若き日の回想、そして死後の世界がドラマティックに表現された曲です。それぞれの情景が鮮やかに目に浮かぶ、陰影や色彩の豊かな演奏をできればと思います。

 

 また、後半に取り上げるブラームスの交響曲第4番は、ブラームス最後の交響曲で、彼の集大成ともいえる作品です。多くのモチーフが緻密に組み上げられた構成美が大きな魅力ですが、その奥には作曲家の痛切な思いが存分に込められています。理性と感情の双方に訴えかける大曲の力をお伝えするべく、日々練習に励んでいます。

 

 オーケストラの重厚な音色や奥深さを存分に味わうことのできる名曲が揃った本プログラムは、100年を超える歴史を持つ東大オケらしさの詰まったプログラムでもあります。それをこのたび全国各地の皆さんにお届けできることを大変光栄に思います。先輩方から受け継いだ伝統の重みを感じつつ、コロナ禍で大きな変化を経験してきた今のメンバーだからこそ表現できる熱い感情のこもった最高の演奏をお届けできるよう、精一杯努力してまいります。クラシック音楽がお好きな方も、普段クラシック音楽に馴染みがない方も、ぜひ会場に足をお運びください。生の音楽の素晴らしさを皆さんと共有できることを、団員一同、心より楽しみにしています。

 

上野あかね(養・4年)

 

チケットは、当団演奏会特設ページ(http://www.ut-orch.com/2022summer/)から購入可能。

タグから記事を検索


東京大学新聞社からのお知らせ


recruit

   
           
                             
TOPに戻る