文部科学省が10月13日に公表した国内最大規模の競争的研究資金「科学研究費助成事業(科研費)」の2016年度の配分で、東大は昨年度に引き続き研究機関別の採択件数・配分額が共に最も多かった。採択件数は全体の約5%の3862件で、総配分額は全体の1割以上を占める約217億円だった。
東大の採択件数は昨年度から99件増加した。昨年度からの継続は2455件で、新規採択は1407件。総配分額は昨年度からほぼ変わらなかった。
研究機関別の採択件数・配分額では2位が京都大学で、3位が大阪大学。採択件数上位10校は全て国立大学で、新規の採択件数のうち約55%を国立大学が占めている。研究者が研究に利用できる「直接経費」の配分額でも、国立大学が全体の約63%を割り当てられている。
科研費は人文・社会科学から自然科学まで幅広い分野の研究に対し助成を行う事業。日本学術振興会を中心に、専門分野の近い複数の研究者の審査などを経て配分が決まる。今回は新規応募件数が初めて10万を超え新規採択件数と共に過去最多だった一方、16~20年度の政策目標が30%に設定されている新規採択率は5年連続減少し約26%。発表を受け文科省の専門部会長を務める西尾章治郎・大阪大学総長は「採択率低下は、研究活動の停滞・中断などに直結する」と危機感を示し、科研費の改革・強化の必要性を強調した。
この記事は、2016年10月25日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。
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