3月10日(土)の東大の合格発表後、11日(日)から15日(木)の間に新入生は入学手続きを行います。その際に書類へ記入した第二外国語で、所属するクラスが決まります。第二外国語の選択が学生生活を大きく左右する要因になるといっても過言ではありません。東大新聞オンラインでは第二外国語決定に役立つ情報をお伝えします。今回は、選抜された少人数制の授業で高度な第二外国語の能力を身に付けることを目指すTLP(トライリンガル・プログラム)について紹介します。
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2013年度から始まり今年で5年目を迎えるTLP。高度な英語力に加え、もう一つの外国語の運用能力を集中的に鍛えていくために設けられた制度です。
TLPを入学時から履修できる条件は東大の2次試験外国語科目の全ての設問で「英語」を選択し、なおかつその成績が上位10%程度であること。参加するには相応の狭き門をくぐり抜ける必要があります。当初は中国語のみでの開講でしたが、16年度からはドイツ語、フランス語、ロシア語でも開講されており、また18年度から韓国朝鮮語でも開講される予定です。長期休暇中に実施される各国への短期研修制度なども整備されつつあり、TLPはますます充実してきているといえるでしょう。
1年間履修して
入試で英語の成績の基準を突破し、1年の前期に当たるSセメスターからTLPに参加したロシア語選択のAさん(文Ⅱ・1年=当時)は、通常は1年生の間に終わる第二外国語の必修授業が、2年生まで続くことを魅力の一つだと話してくれました。意識の上でプラスの面が大きかったというAさん。「TLPを受ける周りの優秀な人たちから刺激を受けていました。また、TLPではないクラスの人に負けたくないという気持ちから、勉強のモチベーションが生まれました」
中国語TLPを受講しているBさんは、TLP受講生のみで構成されるクラスに所属し、1年の春学期は週5回、秋学期には週4回と多くの授業をこなしました。月に1~2回、昼食時に集まって中国語で会話する機会がある他、選考を通過しなければならないものの、1年の春休みと2年の夏休みに海外研修に行けることなどが魅力だとか。「中国語が少しずつ身に付いてきているのを実感できるのは楽しいですし、クラスの皆から向上心を分けてもらうこともできます」。他にも、先生が留学生との交流の機会を作ってくれるなど、その魅力は尽きないようです。
ドイツ語TLP受講生のCさんは、15人程度の少人数できめ細かい指導を受けられるのがTLPの魅力だと語ります。「一方通行的な講義が多い東大で、自発的に授業に参加する姿勢を身につけられたのはTLPのおかげです」。ドイツ語TLPでは、長期休暇ごとに任意参加の、2週間にわたるボンでの語学研修がある他、ドイツ語部会主催のクリスマスパーティに参加するなど、イベントも多いそう。TLPを受講すれば授業数や宿題は増えますが、その分確実に語学力が向上すると言います。
途中参加も可能
参加者が限られているために一見閉鎖的に思われるTLPは、実は履修者が固定されているわけではありません。授業意欲や毎学期の期末試験の成績に応じて、メンバーの入れ替えが行われるのです。1年の後期に当たるAセメスターからTLPに途中参加したDさん(文Ⅰ・1年=当時)は「TLPに参加したいという意欲をSセメスターの勉強のモチベーションにしていました」。ロシア語選択のDさんは、非TLPとTLPのそれぞれの授業について「やることが大きく変わるわけではありません」と話してくれた一方、ロシア語TLPクラスは約15人という少人数のため、授業内外で先生とコミュニケーションを取りやすく「先生と個人的な関係を築けるのが大きいです」。
第二外国語の勉強に意欲がある学生には、TLPは大きなプラスになるでしょう。第二外国語を真剣に勉強したいという場合にはぜひ履修することをお勧めします。仮に入試での英語の成績が芳しくなく、Sセメスターから参加できなかったとしても、Aセメスター以降からの編入を見越して勉強するのもいいでしょう。
第二外国語は、数年来の勉強の蓄積で実力に差が出てしまう英語とは違い、スタート地点は誰もが同じ。入学後の頑張り次第で、どんどん自分の世界を広げて行けるでしょう。第二外国語の勉強を通じて見ることができる、大学での知の世界を楽しんでください。
※この記事は、2017年公開の東大新聞オンライン記事に、加筆・修正を施したものです。
【内容修正】2020年3月11日 17時37分 TLPが開講される言語は中国語・フランス語・ドイツ語・ロシア語・韓国朝鮮語に加え、2019年度よりスペイン語も含まれます。また、TLPの応募は2019年度より全学生が可能になりました。
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