3月10日(土)の合格発表後、11日(日)から15日(木)の間に合格者は入学手続きを行います。その際に書類へ記入する外国語によって所属するクラスが決まります。学生生活を大きく左右する要因になる外国語選択に役立つ情報をお伝えします。今回は、実際に履修した現役東大生によるドイツ語の紹介です。
「何となくかっこよさそう」。1年前、私がドイツ語を選択した理由は、非常に単純なものでした。今にして思えば、少しドイツ語を履修するには覚悟が足りなかったなと思います。
ドイツ語は文法規則を非常に厳格に適用する言語です。英語のように煩雑な例外事項を一々覚える必要は無いのですが、規則を細かく覚えなければ使いこなすことができません。ドイツ語は英語ほど語順にこだわりが無いので、文の基本的な構造を理解するには、1文の中の語の役割や語の性を理解する必要があります。1文に置ける語の役割や語の性によって、語の形が様々な形に変化するので、この変化から1文に置ける語の役割と文の全体構造が見抜けるからです。語の変化形を一つ一つ覚えなければならないこと、これは初修者にとっては大きな壁となるはずです。
文法の厳格さに引かれてドイツ語を選ぶ人が多いからなのでしょうか、ドイツ語クラスの印象は一言で言うと「お堅い」。お堅い師とお堅い学友を求めるならば、あなたはドイツ語を選択するべきです。私のクラスメートは、1学期に5回あった小テストに毎回定期試験並みの精力を傾け、教員はクラスに持ち回りでメールを通じてノートを提出させ、毎回赤字でびっしりのチェックを入れて返していました。
楽に習得できる言語を習得したいのであれば、ドイツ語はあまり向いていないでしょう。それから「実際に話す機会」を優先する人にも、ドイツに思い入れがない限り、もっとふさわしい言語があるのではないかと思います。しかし、ドイツ語を学ぶことの意義は、1年間勉強した程度の私が言うまでもなく、いくら強調しても足りません。文学、社会科学、数理科学の古典には、ドイツ語で書かれているものが非常に多いのです。ドイツ語を学ばなければ開かれない知の世界は確実にあります。活用表を覚えるのに四苦八苦し、何度も単語帳をめくり、例文を暗唱した1年間は、こうした世界に踏み出した一歩になったと振り返っています。
(文Ⅰ・1年=当時)
※この記事は、2017年公開の東大新聞オンライン記事からの転載です。
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