国立研究開発法人科学技術振興機構は11月3日、第3回輝く女性研究者賞を佐々田槙子准教授(東大大学院数理科学研究科)と神谷真子准教授(東大大学院医学系研究科)らに授与した。東大教員がこの賞を受賞するのは初。同日、日本科学未来館で表彰式が行われた。
佐々田准教授は、専門の確率論に代数学や幾何学理論を活用し、原子や分子などのミクロな系が従う法則から温度や密度など系のマクロな振る舞いを説明する新しい理論の構築を進めている。また研究以外にも、数学の魅力を伝えることを目的としたウェブサイト「数理女子」の運営や講演活動など、数理科学分野に携わる女性を育成する社会貢献活動も評価された。
神谷准教授は生物有機化学を専門とし、独自の分子設計法により、がんなどの的確な診断や治療効果の判定に役立つ物質の開発を行なっている。近年では多数の標的分子を同時に検出できる物質を開発し細胞内の詳しい理解に迫るなど、独創的な研究内容が評価された。研究以外には、後進の育成に取り組むとともに、一般に向けて科学の面白さを伝える活動も行っている。
輝く女性研究者賞は女性研究者の活躍推進を目的に2019年に創設され、優れた研究を行っている若手女性研究者、女性研究者の活動推進に取り組む機関に贈られる。今年度は佐々田准教授、神谷准教授の他に、名古屋大学、飯間麻美助教(京都大学)が受賞。受賞者には副賞として、デザイナーの故芦田淳氏が設立した基金から100万円が贈られる。