受験

2024年7月2日

大学院生生活さまざま 【医学系研究科・学際情報学府】

 

 専門分野に応じて数多くの専攻や研究室に分かれる大学院。そこでの学び方・生活の仕方も人によってさまざまだ。就職活動と研究を同時に進める学生、研究者を目指す学生、社会人として働きながら研究を行う学生など、大学院は多様な目的・ライフプランを持った人々が集まる場所でもある。今回は医学系研究科・学際情報学府の大学院生に、進路を決めた経緯や日々の過ごし方、研究の進め方について話を聞いた。(構成・上田朔、取材・天川瑞月、本田舞花)

 

医学系研究科 機能生物学専攻

 

 学部時代は東大医学部医学科に所属していました。医学科には病院研修などの臨床の他に生化学・解剖学・生理学といった基礎医学の授業があり、その内容に興味を持った人が医師ではなく博士課程への進学を目指す印象です。他の主な理系学部とは異なりカリキュラム内に研究室配属がないので、興味のある研究室に個人的に連絡をして所属することが一般的でした。高校生の頃から精神科医を目指していて、精神医学を学ぶには神経科学の知識が必要と考え、学部3年の頃から神経系の研究室に所属していました。授業を受けたり授業後に研究室に通ったりしているうちに研究者になりたいと思うようになり、学部5年の時に院進を決めました。医師免許を取得しましたが医師として働くには2年間研修を受ける必要がある ので、学部卒業後に一度研修医になるか悩みましたが、学部6年の5月に大学卒業後そのまま進学することを決めました。

 

 医学部医学科では、学位は取れませんが修論のようなものを提出でき、その場合は博士課程の入試は面接のみになります。面接の対策は特にせず、当日は所属する専攻の全教授と対面して行われました。

 

 現在は、生体内の神経伝達物質受容体の分布を調べ、シナプスの地図を作ることを目標に研究しています。学部時代からの大きな変化は、実験を毎日行うことができるようになったことです。学部時代と同じ研究室に所属していますが、研究内容はもともとその研究室で行っていたものではなく、独自に考えて大学院入学後に始めたテーマです。授業はほとんどなく、大学では担当教授と1対1で行う進捗などを報告するミーティングや、研究室の院生らと論文を読む抄読会に参加しています。研究室でだけでなく自宅でも実験について考えたり論文を読んだりしています。

 

 大学院卒業後もアカデミアに残る予定です。国内外問わず自分がやりたい研究ができる環境で研究を続けたいと考えています。

 

小林新九郎(こばやし・しんくろう)さん/医学系研究科 博士2年
小林新九郎(こばやし・しんくろう)さん/医学系研究科 博士2年

 

学際情報学府 文化・人間情報学コース

 

 中国で育った私は、幼い頃から日本の漫画や小説に触れ日本の文化に関心を持っていたため、早稲田大学の国際教養学部 へ留学しました。学部3年次の初めに、院進するか迷い教員に相談したところ「本当に研究をしたいなら大学院に行った方が良い」とアドバイスをもらい、院進を決意しました。メディア文化とフェミニズムを専門にしている田中東子教授 (東大大学院情報学環)の下で研究をしたいと思い、東大大学院学際情報学府を目指すことにしました。

 

 学際情報学府の入試は、書類審査と口述試験のみです。私は留学生なので日本語で即座に解答する口述試験が苦手で…。学部の仲間に何度も面接練習に付き合ってもらいました。試験では自分の研究テーマをプレゼンし、研究の方法や対象など研究計画書の細かいところについて質問されました。学部時代の研究についても聞かれると思い準備しましたが、研究計画書以外については聞かれませんでした(笑)。

 

 学部にいた頃は研究テーマにかかわらず関心のある授業を履修していましたが、大学院では研究したいテーマに沿って研究や文献講読を進め、研究内容を掘り下げる必要があります。指導教員の田中教授のゼミの他に、社会学の文献講読ゼミを履修したり自主的に文献を講読したりしています。

 

 現在は中国で流行しているニューメディアに関心があります。これは微博など、一般人でも情報発信が可能なネットメディアのことです。ネット上のフェミニズム、いわゆるサイバーフェミニズムを研究対象にする予定です。「女性たちがどのように女性としての自分を扱っているのか」、「情報の発信と受信という行為を通じて女性としての自分のイメージをどのように構築していくのか」というテーマで研究を進めています。修士課程修了後は日本での就職を考えていますが、関心のある業界や職種が多いので、これから自分の興味をしっかり見極めていきたいと思います。

 

杜雨桐(と・うとう)さん/学際情報学府 修士1年
杜雨桐(と・うとう)さん/学際情報学府 修士1年
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