受験

2024年7月1日

大学院生生活さまざま 【情報理工学系研究科・工学系研究科】

 

 専門分野に応じて数多くの専攻や研究室に分かれる大学院。そこでの学び方・生活の仕方も人によってさまざまだ。就職活動と研究を同時に進める学生、研究者を目指す学生、社会人として働きながら研究を行う学生など、大学院は多様な目的・ライフプランを持った人々が集まる場所でもある。今回は情報理工学系研究科・工学系研究科の大学院生に、進路を決めた経緯や日々の過ごし方、研究の進め方について話を聞いた。(構成・上田朔、取材・安部道裕、上田朔)

 

情報理工学系研究科 システム情報学専攻

 

 前期教養課程の頃にロボコンサークルRoboTechに入り、ロボットを制御するためのプログラミングを学び始めました。そこで、ロボットの最適な動きを表す数式を導出するような「数学的なプログラミング」に興味を持ち、工学部計数工学科に進学しました。現在の専門である「音声合成」という分野と出会ったのは工学部の「信号処理論第二」という授業です。音の分野は数学的に研究されてきた歴史があり、自分の興味と合いそうなので、音響学の研究室があるシステム情報学専攻に進学して音の研究をしようと考えました。

 

 入試では筆記試験に加えて3ページの志望理由書が課せられていました。私はもともと「音の研究に興味を持ったから」という理由があったので、書きやすかったです。「これまで学んだこと」も記載する必要があったので、私が興味を持った音声合成の論文の解説に加えて、ロボコンを通じて学んできた制御についても書きました。面接では、制御の研究をしている教員から、ロボット制御について聞かれました。

 

 入学後は研究中心の生活になりましたが、学部生の頃から授業をサボってロボットを動かしていたので、意外と生活スタイルは変わっていません(笑)。研究をして新しいことを発見するのはすごくワクワクしますが、途中で詰まった時に自分で対処しないといけないのが大変なところですね。もちろん教員や先輩も協力してくれるのですが、先生に聞けば問題が解決するというわけではありません。

 

 大学院入学時は、修士課程を修了したら就職しようと思っていましたが、プラス3年間は研究を楽しもうと、博士課程進学を選択しました。研究職に就きたいと思っていますが、博士号を取得した時点で研究者のポストがあるかどうかは完全に運ですね。現在は似たような研究をしている研究室を探したり、学会に出て名前を覚えてもらったりして、将来研究員として受け入れてもらえる可能性を高めているところです。

 

関健太郎(せき・けんたろう)さん /工学系研究科 博士1年
関健太郎(せき・けんたろう)さん /情報理工学系研究科博士1年

 

工学系研究科 物理工学専攻

 

 「物理は面白い」と思ったきっかけは前期教養課程での電磁気学の講義です。数式から物理現象を解き明かすことに引かれ、物理工学科に進学しました。学部では、物質に電磁波を当てることで物性を解明することを目指し研究していました。「学部4年次の1年間しか研究をしないのはもったいない」と考え、そのまま物理工学専攻に進学しました。大学院でも引き続き物質中の物理現象を研究しており、固体に中性子を照射し、中性子が散乱される角度などを解析することで、物質中の磁性状態を明らかにしようとしています。

 

 大規模な実験装置を扱えるのが研究の魅力の一つです。本郷や柏キャンパスには中性子照射のための施設はないため、半期に1回、茨城県にあるJ-PARCという施設に出張し1週間かけて実験を行います。装置は全貌が分からないほど大きく、ロマンがありますね。取得した実験データは本郷に持ち帰って2カ月ほどかけて解析します。

 

 学外活動として書道研究会に所属しています。書道歴は20年で、今は師範代の取得に向けて励んでいる傍ら、工学系研究科が主催する日本語教室で留学生に向けて書道のワークショップを開いたりしています。研究も書道も細かく締切を設けて、メリハリを付けることで両立しています。

 

 大学院ではいろいろな能力が培われたと思います。私の研究は研究室では新規プロジェクトだったので、解析用コードをゼロから構築する必要がありましたが、根気強く取り組んだ結果、最終的には教員にも使ってもらえるようなコードを書けました。粘り強さは身に付いたと思います。プロジェクトの内容も、同じ研究室ながらそれぞれで全く異なります。実験内容や背景知識を分かりやすく伝えられるよう、発表や資料を組み立てました。修士課程を修了した後は、システムの開発や導入で顧客のDX化を推進するサービスを行うIT系の会社に就職する予定です。さまざまな立場の顧客にも分かりやすく説明する能力は大学院で身に付けられたと思います。

 

石原由貴(いしはら・ゆき)さん/工学系研究科修士2年
石原由貴(いしはら・ゆき)さん/工学系研究科修士2年

タグから記事を検索


東京大学新聞社からのお知らせ


recruit

   
           
                             
TOPに戻る