受験

2023年6月20日

東大の大学院ってどんなトコ?【法科大学院・人文社会系研究科編】

 

 外部の人にとっては想像がつきにくい、大学院。漠然と進学を考えている学部生や、他大学から受験を考えている人も多いだろう。東大の大学院に通う学生たちは、何を学び、どのような日々を送っているのか。4人の大学院生に、大学院での生活や学習・研究、大学院入試対策について話を聞いた。(構成・松崎文香、取材・上田朔、清水央太郎、新内智之、松崎文香)

*取材に基づく試験内容は今後実施されるものと異なる場合があります。

 

院試対策スケジュール 

 

早稲田大学政治経済学部→法学政治学研究科(法科大学院) 中島さんの場合

 

生活・学習・就活Q&A

 

Q1.  最も力を入れた院試対策は?

A.  小論文対策です。出題テーマに近い内容の書籍を読んだり過去問を解いたりしました。(法学政治学研究科・中島さん)

A.  卒論です。やっぱり研究で一番大事なのは論文だと思います。(人文社会系研究科・齋藤さん)

 

Q2.  自分に合うゼミ・研究室の選び方は?

A.  一言でいうのは難しいですが、幅広く学んで視野を広げることで「ここぞ」という研究室などに出会えると思いますよ。(人文社会系研究科・齋藤さん)

 

Q3.  学習・研究で楽しい瞬間は?

A. 司法試験合格という大きな目標に向けて、仲間と共に励むことができる点です。(法学政治学研究科・中島さん)

A. 知識の間に意外な結びつきを見つけた時ですね。(人文社会系研究科・齋藤さん)

 

Q4.  奨学金・バイトなど経済面について

A. 勉強に集中するためアルバイトは特にしていません(法学政治学研究科・中島さん)

A. 奨学金に加え日本学術振興会特別研究員にも応募する予定です。(人文社会系研究科・齋藤さん)

 

法学政治学研究科 法科大学院

 

 

中島ひさの(なかじま・ひさの)さん/法科大学院1年

 

 学部生の頃は早稲田大学で政治学を専攻していました。選挙データの計量分析など、政策について勉強するうちに法律の重要性に気付かされ、弁護士を志すようになりました。司法試験の合格を目指し、2年次の秋ごろから法科大学院の受験を考え始めました。

 

 法学部出身でない私は3年かけて法律を段階的に学ぶ未修習者コースを受験し、院試は英語外部試験と、志望理由、小論文、学部時代のGPAが必要でした。英語は留学経験もあり自信があったため、出題テーマに近い内容の書籍を読んだり過去問を解いたり、小論文対策に注力しました。

 

 司法試験合格がゴールなので、1年次は民法や刑法といった7種の基本科目のインプットがメインです。おのおのが履修を自由に組める大学生活というよりは、大学受験期の高校生のような時間割に近く、週に4日は同じクラスの人と顔を合わせています。皆年齢も経歴もバラバラなので、発見も多いです。

 

 生活のメインは、やはり勉強です。毎週出される課題は、質・量ともに重く、付いていくだけでも大変なので、バイトやインターンは一切やらずに生活の大部分を勉強に捧げています。法科大学院は進級条件が厳しく、3分の1の学生が留年する年もあるとさえ言われています。仲間と努力できるのは、本当に大きなモチベーションになっています。将来的には初心を貫き、政策立案などに関わっていきたいと考えています。

 

 

人文社会系研究科 欧米系文化研究専攻

 

 

齋藤央樹(さいとう・ひろき)さん/修士2年

 

 学部時代の専門は演劇学で、文学研究ではありませんでした。でも、池澤夏樹・編の『世界文学全集』(河出書房新社)に収録されていた石牟礼道子の作品の表現に感動して。腰を据えて研究したいと思い、以前から憧れていて『世界文学全集』の翻訳者も複数在籍した今の研究室に進みました。

 

 現在は地方の文化を多く取り入れている石牟礼文学を民俗学の視点も取り入れて研究しています。研究室は意欲と覚悟さえあれば欧米文学に限らず自分のように日本文学も扱える「なんでもあり」な環境。知らないことに触れられて刺激を受けますし、自分の研究を見つめ直すきっかけも得られます。課外活動としては海外から文学者が訪れるイベントやサマースクールに参加し交流や議論を重ねています。

 

 親からの生活援助を受けなくなり「生活がかかっている」という意識が強くなったことで、研究への姿勢が変わりました。本を読む時も、論文執筆を前提として普段から理論の裏打ちを探すようになりましたね。生活面では朝型の生活リズムを意識しています。先生方も朝に論文執筆を進めている人が多いそうなので。

 

 将来は博士課程に進み、研究職に就きたいです。もちろん狭き門なので、最終的に隣接する翻訳などの仕事をする可能性はありますが。資金のやりくりは苦しいですが、日本学術振興会特別研究員への応募や一旦就職することなど、いろいろと検討しています。

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