東大と企業のトップが包括的な社会の実現策を語り合う、東京大学国際女性デー特別企画「企業と大学トップが語る インクルーシブ社会への道すじ」が9日に開催された。8日が国際連合の定める国際女性デーであることを記念する、初の全学的なイベントとなった。対象は東大の学生と教職員で、事前登録者は学生が約450人、教職員が約180人。男性の登録者は全体の約3割だった。
次期総長予定者の藤井輝夫理事・副学長(財務、社会連携・産学官協創担当)や、味の素の西井孝明代表取締役 取締役社長は、D&I(多様性と包括性)の実現は組織の成功にもつながるとした。五神真総長は、東大のD&Iが不十分なことに内部からは気付きづらい、と指摘した。
クローダジャパンの窪川潤子代表取締役社長は、無意識の偏見などの問題について、客観性を持ち着地点を見据えて対処する必要があるとした。加えて、自分の中で優先度の高い問題から取り組むことも勧めた。
学生や教職員などに占める女性の割合を高める上で、特定の属性の人を一定の割合で確保する「クオータ制」のような数値目標の必要性も確認された。ただし女性が「能力以外の要因で選ばれた」と偏見を浴びる危険性も指摘され、詳細は今後の課題となった。
登録者の一部は、7人の登壇者のうち5人が男性であることを疑問視した。モデレーターの石井菜穂子理事(非常勤、経営改革特命担当)は、意思決定者の男性にも決意を示してもらう必要があった、と答えた。