日本学術振興会は1月28日、学術研究発展への寄与が期待される博士課程学生を顕彰する「日本学術振興会 育志賞」の第10回受賞者18人を発表し、東大からは4人が選ばれた。受賞者には賞状、メダルと学業奨励金110万円が授与される。授賞式は3月4日に日本学士院で開催される予定だ。
穐近(あきちか)慎一郎さん(工学系・博士3年)は、遺伝情報伝達物質「mRNA」の末端に結合する物質が、結合に当たって一部の構造を変えるために必要な酵素を発見。結合の際、mRNAの遺伝情報からタンパク質を合成する作業「翻訳」が促進されることも明らかにした。三浦郁修(ふみなり)さん(工学系・博士3年)は疫学調査や微生物データに基づき、感染症対策の情報共有システムが脆弱な発展途上国でも感染症の拡大やワクチン接種効果を統計的に推定できる数理疫学モデルを構築した。
龔宗平(ゴン・ゾンピン)さん(理学系・博士3年)は、多数の原子や電子が平衡状態を取らずに相互作用し合う中で現れる「トポロジカル現象」と呼ばれる新しいタイプの物理現象を研究している。昨年修士課程在籍時に総長賞を受賞した板倉健太さん(農学生命科学・博士1年)は移動式の3次元センサーや立体写真の測量技術を用いて植物の3次元構造を測定。深層学習により、測定した植物の情報を自動的に解析する。
この記事は2020年2月11日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を掲載しています。
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