プログラミングをゼロから学べるアプリ作りコンテスト「東大ガールズハッカソン2020」(主催・東京大学新聞社)に向け、チームごとにアイデアを出す「アイデアソン」が9月11日に行われた。今年は25人の東大の女子学生が集まり、7チームに分かれてアプリの開発を目指す。各チームに数人のメンターが付き、ハッカソン本番に向けアイデアの考案を行う。例年は協賛企業のオフィスで行われるが、今年は新型コロナウイルスの影響でオンライン開催となった。
参加者やメンターはZoomに集まり、木戸冬子特任研究員(東大経済学研究科)と、運営に携わった企業の一つであるLINEの藤原聖さんによるあいさつを受け、アイデアソンが始まった。その後、司会によるテーマの説明が行われた。
今年のアプリ開発のテーマは「動詞」と発表された。各チームに50音のあ〜わ行のうち1行を割り当て、その行の中で思い付く動詞のうち一つを選び、その動詞から連想できるテーマでアプリ開発するというものだ。例えば、は行→へ→減らすであれば体重や体脂肪率を管理し、筋トレやダイエットに役に立つアプリの開発などが考えられる。
テーマの説明後、チームごとにブレイクアウトルームに振り分けられ、自己紹介をしてアイデア出しに取り掛かった。対面で作業できない中でも、Google Slidesの共同編集機能や、ブレーンストーミングや情報整理などをオンラインで複数人でできるMiroというサービスのホワイトボート機能を用いて作業に取り組んだ。
参加者たちはまず、割り当てられた行の動詞を思い付く限り全員で書き出す。多くのチームでは思い付いた動詞を分類し、種類ごとに関連するサービスについて考えた。例えば、あ行の動詞のうち、「遊ぶ」「集まる」は「会う系」、「描く」「写す」は「芸術系」に分類。「会う系」であれば学内の相談マッチングアプリ、「芸術系」であれば写真フィルターのアプリなどの案が出た。
次に、考えたアプリのサービスごとに、6W2H(いつ、どこで、誰が、誰に、何を、なぜ、どのように、いくらで)を書き出す。あるチームでは、「ためる」と「使う」を掛け合わせ、ミヒャエル・エンデの文学作品『モモ』をモチーフに、課題などに取り組む時間をためて、本当にやりたいことに使うアプリを考案。やりたいことがあっても仕事などでなかなかできない人のために、時間を「貯金」し、我慢した時間を可視化できるというものだ。オンラインでも活発な議論が展開され、さまざまなサービスを活用してアイデアが徐々にまとまっていった。いずれのチームも2時間弱の持ち時間の中でアイデアを最大限にブラッシュアップした。
アプリの内容や画面について検討したあとに、アプリの開発案を披露し合う発表会が行われた。
参加者は同じ空間にいないが、Zoomを通してお互いの表情を見ることができ、発表者が不安にならないように拍手などの機能をふんだんに使った。近くにいる人を助けることをテーマにしたチームはユーザーを働く女性に設定。位置情報を用いて母親同士で保育園の送り迎えを手伝ったり、育児の相談をしたりする内容だ。
どのチームも対象ユーザーや、アプリの具体的な仕様を綿密に検討。対面で会えない中でも、Zoomの画面をスクリーンショットし、集合写真を撮った。
参加者たちは、今回話し合ったアイデアを基に、9月17、18日に開かれたハッカソンでのアプリ開発に臨んだ。レポートは11月10日発行の駒場祭特集号に掲載予定。
運営の声
藤原聖さん(LINE)
今回のアイデアソンはオンラインでの開催となったのですが、我々運営としては皆さまの議論がスムーズに進むようにZoomのブレイクアウトルームやGoogle Slidesなどのツールを準備させていただきました。学生の皆さまは何の違和感もなくそれらのツールを使いこなし、さながらオフラインで集まっているかのような白熱した議論ができていたように思います。皆さまのデジタルツールへの適応力の高さを感じるアイデアソンでした。
この記事は2020年10月6日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を掲載しています。
ニュース:次期総長に藤井理事・副学長 初回投票で過半数獲得 「誰もが来たくなる学問の場を」
ニュース:打線かみ合わず連敗 硬式野球慶大戦 投手陣も粘れず
ニュース:社会連携講座・基金設置へ 藤田卓越教授
ニュース:駒場祭もオンラインで 11月21〜23日開催
社説:総長選考 このままでは終わらせない議論を
企画:ゼロからアプリを考案 オンラインでも議論白熱 小社主催ハッカソン アイデアソン開催
企画:19歳が見た中国① フェリーに乗って、ぶっつけ本番中国語
教員の振り返る東大生活:永井久美子准教授(東京大学総合文化研究科 進学情報センター)
キャンパスのひと:里見紗弥子さん(理・4年)
※新聞の購読については、こちらのページへどうぞ。