イベント

2021年10月28日

東大ガールズハッカソン2021開催 プログラミング初心者がAI機能を用いたアプリ開発に挑戦!

 

 東大の女子学生を対象に、プログラミングをゼロから学びアプリケーションの開発に挑戦する「東大ガールズハッカソン2021」が9月16日、9月17日に開催された。ハッカソン(hackathon)とはプログラムの作成を意味するハック(hack)とマラソン(marathon)からなる造語で、一定の期間でマラソンのようにプログラムの開発を集中的に行い、チームごとにアイデアや成果を競う催し。昨年度に引き続き、新型コロナウイルスの感染拡大を受けてオンライン開催となった。

(取材・伊藤凜花)

 

2日間に及ぶハッカソンを集合写真で締めくくった

 

開発テーマは「AIで教養を広げる」

 

 本イベントは東大の女子学生に楽しみながらハッカソンに参加してもらい、プログラミングを身近に感じてもらうことを目的に2016年より東京大学新聞社が主催。参加したのは学部生20人、大学院生3人の計23人(うち理系21人、文系2人)で、ほとんどがプログラミング初心者だった。

 

 参加者はハッカソンに先立ち、8月~9月にプログラミング講習を受講。プログラミング学習サービスProgateを利用してJavaを学習し、プログラミングの基礎知識を習得した。その後は、Androidのアプリ開発を行うにあたり、動画コンテンツを用いて開発ツールの使用方法についても学んだ。

 

 ハッカソン1週間前の9月10日には、ハッカソンで開発するアプリのアイデアを出し合うアイデアソンを開催。参加者は3~5人ずつの計6チームに分かれ、初めて顔を合わせたにもかかわらず白熱した議論を行った。今年の開発テーマは「AI(人工知能)で教養を広げる」。音声認識、画像認識、機械学習といったAI機能をアプリに盛り込むという条件が今年度から新たに追加された。各チームには1~3人、各協賛企業から、プログラミングやアイデアについての助言を行うメンターも参加。プロのエンジニアとして、建設的な意見を提供した。

 

2日で作ったとは思えないクオリティー

 

 迎えたハッカソン当日。1日目は9時に集合し、開会式の後は昼食・夕食を除き20時までひたすらアプリ開発に取り組んだ。アイデアソンで出たアイデアを基に、黙々とプログラムをコードしていくチームもあれば、画面を共有しチームのメンバーやメンターと相談しながら進めていくチームもあった。また、チーム「たびねこ」と「MI’z」はアイデアソンでの他チームの発表やプロの意見を受けて、アプリの内容をアイデアソンでのものから大きく変更した。どのチームも進捗が良く、2日目の昼頃にはアプリをほぼ完成させた。そして昼食後は発表準備に移った。アプリそのものだけでなく発表も審査の対象となるため、時間内に的確かつ印象的な発表ができるよう、リハーサルを行った。

 

チーム「小籠包食べたい」の開発過程。メンターの助けを借りながら、チーム一丸となって開発に取り組んだ

 

 2日目の16時から発表会が開始。各チームの持ち時間は発表5分、質疑応答3分で、各協賛企業から選出された審査員が評価する。メンバーとの意思疎通がとりにくいなどオンラインならではの難しさがある中、実際にアプリを使用した様子を動画で見せるなど、工夫が見られた。質疑応答では、実装の詳細についてプロならではの視点から問うた質問があったほか、難しい実装の実現に驚く声も聞かれた。

 

 全てのチームの発表が終わると、審査を経て、各協賛企業から企業賞が授与される表彰式が行われた。審査員は「どのチームのアプリもクオリティーが高く、2日で作ったものとは思えなかった」と各チームの努力を称えた。企業賞を三つ受賞するなど、存在感を見せたのがチーム「MI’z」の「Pictionary for MI」。例えば街中で外国語の看板を見つけたとき、意味が気になるがわざわざスマホに打ち込んで調べるほどでもない。そんなときに、写真から文字を認識して翻訳し、その単語を単語帳に保存して後から見返すことができる。発表がわかりやすく、利用シーンがイメージしやすかった点や、幅広い世代にニーズがあることが評価された。

 

チーム「MI‘z」の発表。アプリストアのインストール画面を再現した

 

 そして、二つの企業賞と、最優秀賞である東大新聞賞を受賞したのがチーム「草苺(ツァオメイ)」の「笑顔で作る単語帳」。単語を入力すると、意味が表示されると共にカメラで表情検出を行い、笑顔の度合いを理解度として表示。理解度の高い単語は理解度とともに復習リストに追加され、復習に役立てることができる。近年小学生など、低年齢層の英語学習の機会が増えている中で、小さい子どもでも使いやすく、楽しく勉強できる英語学習アプリを目指した。審査員からは、言語学習に表情検出機能を用いるという画期的なアイデアや、実装の難しい表情検出をアプリに組み込んだ点が称賛された。

 

チーム「草苺」の発表。表情から英単語の理解度を検出できる

 

 表彰式後は懇親会が行われ、メンターも含めた各チームごとに分かれ、ハッカソンの感想を語り合った。さらにチーム内だけでなく、チームの枠を超えた交流も行われた。ハッカソンの運営にも携わったSCSK株式会社の横山さんは「ハッカソンを通じて学部や世代を超えたつながりを作れたのも良かったと思います。また参加企業の方々ともお話しして、社会人がどのような活動をしているのかを知るのも、得るものがあったのではないかと思います」と話した。アプリ開発技術だけでなく、それ以上の学びも得られるハッカソンは今年度も成功に終わったと言えるだろう。2日間に及ぶ奮闘を終え、新たに成長した参加者の今後の活躍に期待したい。

 

東大新聞賞(最優秀賞)受賞チーム「草苺」メンバーの感想

 

・李知原さん(工・3年)

 限られた時間の中で順番を考えながら開発を進め、中でもAI機能の導入は一番難しかったです。実際にエンジニアとして活躍されているメンターさんに手伝っていただきながら、チームで開発をしてみることができて良かったです。これまでアプリ開発をする機会はありませんでしたが、今回をきっかけにアプリ開発にも興味を持つようになりました。

 

・周友佳さん(理Ⅱ・2年)

 アプリ開発では、子供をターゲットにしたアプリなので、苦手意識を持たせないようにシンプルなアプリにすることを意識し、工夫しました。初めはわからないことが多く戸惑いましたが、チームのメンバーやメンターの方に助けられ、理解が進み、開発を楽しむことができました。今回チームで力を合わせてアプリをつくったことは、学びが多く、非常にいい経験になったと思います。

 

・Tさん(理Ⅰ・1年)

 独学でPythonを勉強し始め、学んだ事をアウトプットする場が欲しいと思い参加しました。コーディング部分は難しく大変でしたが、チームのメンバーのおかげでほぼイメージ通りのアプリが開発できました。私は、表情測定を単語帳に応用出来たら良いなと言っていた張本人だったので、大変嬉しかったです。かなりハードな2日間でしたが、最終的には嬉しさと達成感でいっぱいです。

 

・Nさん(理学系研究科・博士2年)

 簡単なGUIを作ったことがあり、より複雑なプロダクトに取り組んでみたかったので参加しました。難しい処理や初めての共同開発には戸惑いましたが、メンターの方々にたくさんご指導いただきながらなんとか時間内に形にできました。また、チームでの開発ということでメンバーと協力し合えたこともよかったです。今後もますますプログラミングの勉強に励みたいと思いました。参加して本当によかったです。

 

 

協賛:
SCSK株式会社
日本生命保険相互会社
ニッセイ情報テクノロジー株式会社
LINE株式会社
ジョルダン株式会社
PCIソリューションズ株式会社
株式会社インターリンク
エムスリー株式会社
株式会社Progate
Google合同会社
(順不同、敬称略)

 

【記事修正】2021年10月29日午後4時8分 参加者の人数を25人から23人に修正しました。

【追記】2021年11月3日午後4時6分  協賛企業一覧を追加しました。

koushi-thumb-300xauto-242

タグから記事を検索


東京大学新聞社からのお知らせ


recruit

   
           
                             
TOPに戻る