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2015年1月27日

緒方貞子さん「人間の安全保障」への思いを語る

1月10日、駒場キャンパス18号館ホールにて、「人間の安全保障」プログラムの発足10周年記念シンポジウムが開かれました。

元国連難民高等弁務官で前JICA理事長の緒方貞子さんが開会挨拶を行い、本学の教授やプログラムの卒業生によるパネルディスカッションが行われました。シンポジウムには、230人にのぼる観客が訪れ、プログラムの取り組みを知り、「人間の安全保障」が目指す理念を学ぶため耳を傾けました。

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開会挨拶で、緒方貞子さんは以下のように語りました。

国連難民高等弁務官を務めていた90年代は、ソ連を始めとする連邦国家が崩壊し、またルワンダ等の国々で内戦が勃発する時代でした。

地域や民族・部族の対立は、人々の生活に多大な影響を及ぼす問題であり、どのようにして国際社会は対応していくのか、国連ではその答えを探し続けてきました。

現在もこの問題が解決されていないのを見て、答えを見つけるのがこれほどまでも難しいのかと嘆息しています。

国連難民高等弁務官を務めていた時代には、従来の『国家による安全保障』を補完する概念として『人間の安全保障』を提唱しました。これまで国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)では、国境を越えた難民を庇護してきましたが、国内に留まる人々、いわゆる国内避難民(IDP)には支援の手を差し伸べることができなかったのです。

しかし、当時、連邦国家が崩壊し、内戦が勃発する過程で、国家が国民を守ることができなくなる中、国内避難民にも支援を行うために、新しい概念である『人間の安全保障』が必要だったのです。

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『人間の安全保障』の概念は、その後、国連での『人間の安全保障委員会』や『人間の安全保障諮問委員会』などを通じ政策概念として具体化が図られ、またプロジェクトとして事業化が進められました。

しかし現在、『イスラム国』や『ボコ・ハラム』が台頭し、『エボラ出血熱』が発生するなど、『人間の安全保障』の必要性は、なお一層高まっていると思われます。

課題の解決に向けて、日本国内と海外の関係者がつながり、知見を共有していくことが必要です。

今年はHSP発足10周年という記念すべき年ですが、これまで10年間の実績・成果について、本日は是非伺いたいと思います。また、HSPの今後の活動に期待しています。

シンポジウムでは、国際的な人間の安全保障の実践と研究の状況や、東北での震災後の復興について議論が展開されました。また会場からはシンポジウムの3日前に起きたフランスでの銃撃事件に関連するものなど、多くの質問が出されました。

(文責 須田英太郎)

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