医学部附属病院で昨年、9月21日に心臓関連の最先端治療を受けた40代男性が10月7日に死亡したことが判明した。治療と死因との関係は今のところ不明。同院によると9月28日に当該治療を全面停止し、12月の東京都福祉保健局の立ち入り検査を経て、現在も当該治療を停止中だという。
当該患者は2011年以降心不全で入退院を繰り返し、昨年8月に病状が悪化。弁不全による血液の逆流が悪化の一因とされた。担当医らは昨年4月から日本で実施可能となった「MitraClip」という、カテーテル(管)を経由して弁をクリップで閉じる治療に着目。心臓移植など他の治療が困難とされた中、医療関係者間の議論や、患者とその家族への説明を経て、MitraClip実施が決まった。
治療当日は海外でMitraClipに多く参加した医師らが、まず右心房から左心房へ小さな穴を開けることを試みたが不成功。治療続行は危険と判断された。穴が開かない事態は、治療担当者らが経験した千件以上の症例の中で初めてだという。患者の病状は一進一退しつつ徐々に悪化し、死に至った。