文化

2024年9月6日

【ひとこまの世界】文豪たちの足跡をたどって 日本近代文学館で「本物」に触れる体験を

 

 朝夕の涼しさに、秋が近づいていることを感じられる今日この頃。空きこまに文学の世界に浸りに行ってみるのはどうだろう。今回は3限の時間にぶらり、日本近代文学館を訪ねた。

 

13:15 駒場Iキャンパス西門から出発。直進するとすぐ駒場公園の南門が見つかる。

 

駒場公園の南門。偶然猫に出会った
駒場公園の南門。偶然猫に出会った

 

13:30 日本近代文学館に到着。文学館の初代理事長、高見順は旧制第一高等学校(現在の東大教養学部などの前身)の出身。彼は戦争により文学資料が散逸していく様子を目の当たりにし、かけがえのない文学資料を保管できる場所を作ろうと考えた。彼の思いに共感した作家や詩人、評論家などさまざまな人々が集い、資料や資金集めから場所探しに至るまで、全てを一から行った。文学を愛する人々の熱意によって建てられたのが日本近代文学館なのだ。

 

駒場公園の東の端に位置する日本近代文学館
駒場公園の東の端に位置する日本近代文学館

 

13:40 観覧料を支払い、展示室へ。日本近代文学館は著名な文学者の直筆の原稿や書簡、遺品を10万点近く収蔵している。展示室では貴重な資料の一部を見ることができる。今回は芥川龍之介展(2024年6月8日まで)が開催されていた。

 

展示室の入口。静かで落ち着いた雰囲気(日本近代文学館提供)
展示室の入口。静かで落ち着いた雰囲気(日本近代文学館提供)

 

13:50 特に面白かった展示は、芥川龍之介が実際に手元に置き読んでいた和漢書、洋書の数々だ。本の余白部分には感想が書き込まれ、文章には下線が引いてあることもある。それらの書き込みから彼の思考の軌跡をたどることができた。

 

14:30 展示品をじっくり見ていたらあっという間に時間が過ぎていた。ここにはさまざまな近代文学の初版本や異装本を手に取ることができる閲覧室もあるのだが、今回は時間がない。今度は閲覧室にも入ってみようと決め、文学館を去る。

 

14:40 駒場公園の東門を出て閑静な住宅街を通り抜ければ、駒場Iキャンパスはすぐそこだ。

 

 普段文学にあまり触れないという人でも、文豪たちの生々しい走り書きの跡や、大切に保管されてきた遺品の数々を見れば、近代文学に自然と興味が湧いてくるだろう。ぜひ、「本物」の資料に触れられるからこそできる体験をしてみてほしい。【杜】

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