2016年度卒業式が3月24日に安田講堂で行われ、学部生3080人が卒業した。23日には学位記授与式が挙行され、修士課程生2982人・博士課程生1094人・専門職学位課程生322人の計4398人が修了した。
卒業式の告辞で五神真総長は、東大が16年5月に「スポーツ先端科学研究拠点」を開設したことに言及。今、東大がスポーツ科学研究を推進する意義を「超高齢社会を迎えた日本での健康寿命延伸」と、「競技の勝者が敗者・弱者を思いやるなど多様性に寛容な社会づくりへの貢献」と述べた。旧東京帝国大学医科出身の高木憲次教授が、当時社会に参加できなかった身体障がい者の自立支援に尽力したことにも触れ「あらゆる不自由を含めて多様性を尊重し、豊かな社会づくりに関わってほしい」と卒業生を激励した。
卒業生答辞は中嶋樹理さん(農・卒)と神田淳希さん(育・卒)が述べた。中嶋さんは研究で導かれる原理を「土から掘り出される石」に例え、「人類社会への貢献のために『石』を役立てる方法を提示し、世間の共感を得るためだけに『石』を捏造(ねつぞう)することなく未知の課題に真摯(しんし)に取り組む」と抱負を述べた。神田さんは多様な学問を扱う教育学部で他者の価値観を吸収し、アメリカンフットボール部の主将として部員約150人を率いた学生時代を回顧。「膨大な情報で真実が不明確になり、自分と異なる者に不寛容な社会ができつつある現代で、理性・知性を持って他者と協調し新たな可能性を模索する」と決意を語った。
この記事は、2017年4月4日号からの転載です。本紙では、他にもオリジナルの記事を掲載しています。
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