第95期五月祭常任委員会は3月20日、本年度の五月祭を5月14、15日にキャンパスとオンラインの企画を組み合わせたハイブリッド形式で開催する方針だと発表した。2019年以来の有観客開催の方針はどのように決定したのか。また、一転してオンラインのみの開催となる可能性は。五月祭常任委員会に話を聞いた。(取材・中野快紀、情報は8日正午現在)
あくまで「ハイブリッドを前提とした準備」
本年度の五月祭を運営する第95期五月祭常任委員会は20日、五月祭の公式サイトで「第95回五月祭は2022年5月14日(土)・15日(日)に、キャンパスでの企画とオンラインでの配信などを併用したハイブリッド形式で開催される予定です」と発表。発表通りに開催されれば、19年度の駒場祭以来3年ぶりにキャンパスに観客を入れた学園祭となる。
五月祭常任委員会の倉島啓斗委員長(理・4年)は五月祭ハイブリッド開催の方針を受け「五月祭は学生に企画を出展してもらうことで成り立っている。ここ2年はオンラインで開催してきたが、今回はハイブリッド開催ということで、学生の方たちに対面で企画を提供してもらう機会を用意できるのがうれしい」と話す。ただ、必ずしも五月祭が対面で行われるのが決まったわけではないということには注意が必要だ。倉島委員長によると今回の発表は「感染対策を含めて大学と協議していく中で、現段階ではハイブリッド形式を前提として準備をしても良いという合意が取れたということ」。昨年度などと同様、東大の学生支援課を通じて大学側と協議を進めており、今後の感染状況によって開催形式が変更される可能性も否定できない。
倉島委員長によると、大学との協議は今期の五月祭常任委員会が発足した昨年12月から継続的に進められ、ハイブリッド開催の方針を発表した20日の直前に一定の折り合いが付いたという。ハイブリッド開催に向けた協議の争点となったのは、やはり会場での感染対策だ。五月祭常任委員会では企画の種類ごとに来場者を含む関係者の感染対策を具体的に示し、大学側に説明した。具体的な感染対策は企画を出展する学生にも示されている(表)。
ハイブリッド開催の実現に向け、今後はより綿密な感染対策を用意し、大学側に提案していくとした。また、どのくらいの規模で対面開催をするかについては折り合いがついていない状態だ。学外者の入構可否なども含め、入構できる関係者の合計人数について大学と交渉を進めている。
「感染状況に大きく影響を受ける。新型コロナウイルスの感染拡大は天災のようなもので、避けようがない側面もある。また、人数を増やせばその分厳格な感染対策が必要になるため入構人数と感染対策は表裏一体だ」と話す倉島委員長。今後の感染状況によっては、全面的にオンラインで開催するという選択肢も可能性として見据えている。
現段階では5月に開催するものとして協議を進めており、延期した上でハイブリッド開催するなどといった選択肢については検討を行っていないという。
新入生企画は例年通りサポート
五月祭では例年、入学したばかりの学部1年生がクラス単位で飲食の模擬店を出しており、クラスメートとの交流の場としても機能していた。本年度は構内での飲食が禁止されるため飲食の模擬店を出すことはできないが、五月祭常任委員会では企画出展のサポートを実施し、企画を通して交流を図ってもらうことを目指すという。昨年度は完全オンラインでの開催だったが、一部のクラスが配信や展示などの企画を出展していた。
東大でハイブリッド形式の学園祭を開催するのは初めての試みとなるが、倉島委員長は「今回は初めてハイブリッド開催ができるかもしれないという段階。ハイブリッドによってどのような価値が生まれるかはもちろん想像できるが、やってみないと分からない」。新型コロナウイルスの感染終息後にも五月祭をハイブリッドで開催するという選択肢も、本年度の五月祭を実施して、どのような価値が生まれたかのフィードバックを踏まえて検討を行うという。「対面とオンラインの両方に魅力があると思う。うまくバランスを取り、両方の価値が損なわれない形で検討していきたい」
新型コロナウイルス感染症の流行以降、20年度、21年度の五月祭はいずれもオンラインで、9月に開催されていた。例年は5月に本郷・弥生キャンパスで2日間開催されている。
【訂正】
本記事を『東京大学新聞』5月号に掲載した際、見出しを「あくまで『オンラインを前提とした準備』」としていましたが、正しくは「あくまで『ハイブリッドを前提とした準備』」でした。誤解を生む表現をしてしまい申し訳ございません。お詫びして訂正いたします。」
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