ロクシー・マシュー・コール研究員(インド熱帯気象研究所)や末松環特任研究員(大気海洋研究所)らは、西インド洋から中央太平洋の赤道域に広がる海面水温の高い水域が地球温暖化に伴い拡大し、降水分布に変化傾向を生じていることを解明した。成果は11月27日付の英科学誌『ネイチャー』に掲載された。
インド―西太平洋暖水域は地球上で最も広い海面水温が28度以上の水域で、雲活動が活発化しやすい。同水域上を雲活動域が30〜60日かけて東に移動する現象「マッデン・ジュリアン振動(MJO)」は地球全体の気象に影響を及ぼすため、温暖化による影響の解明が求められていた。加えて、地球の海面水温が上昇傾向にあることは知られていたが、海面水温の上昇による気象・気候への影響も未解明なことが多かった。
今回の調査でインド―西太平洋暖水域が年間40万平方キロメートル(日本の国土に匹敵)拡大していることが判明。MJO全体の継続期間は温暖化で大きく変化していないものの、以前よりインド洋上では3〜4日短く、西太平洋上では5〜6日長くなっていることが分かった。結果、西太平洋上のMJOの継続期間と降水分布の関係を調べると、継続期間が延びるに従い米西部カリフォルニア州周辺などで降水が減る一方、アマゾン川流域などで増えるというパターンを確認。将来の気象変化などより詳細な分析が期待される。
この記事は2019年12月10日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を公開しています。
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