日本学士院は6日、優れた研究業績をたたえる日本学士院賞の受賞者9人を発表し、田口正樹教授(法学政治学研究科)ら5人の東大関係者が選出された。自然保護および種の保全の基礎となる優れた学術的成果を挙げた研究者に隔年で贈られるエジンバラ公賞の受賞者も発表され、北潔名誉教授が選ばれた。
田口教授はドイツ中世後期における国王裁判権の機能を研究。地域の裁判事例を史料から丹念にたどり、国王裁判権が通説以上に紛争解決に寄与していた実態を明らかにした。地域史の視点も導入することで、中世の裁判機能の研究分野に新たな展望を開いた。
川合眞紀名誉教授は、光のスペクトルに着目して固体表面に吸着した分子の構造や化学反応を研究。触媒科学分野や物質材料分野に貢献したことが評価された。小嶋稔名誉教授は、ヘリウムなどの希ガスの同位体分析を通して「希ガスの地球惑星化学」という研究分野を創設し、希ガスに関するさまざまな研究業績を残した。岡田恒男名誉教授は建築物の強度と粘り強さを表す「Is値」を考案し、既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断法を確立。耐震診断・耐震補強分野の発展を促し、地震被害の軽減に貢献した。喜連川優教授(生産技術研究所)は従来方式に比べ約千倍の性能向上を達成した「非順序型データベース演算実行方式」を開発し、大量のデータ処理を飛躍的に高速化することに成功した。
エジンバラ公賞に選出された北名誉教授は、熱帯病原性微生物の生存および拡散戦略の解明に寄与。新たな抗寄生虫薬の開発にも貢献した。
この記事は2020年4月28日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を掲載しています。
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