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2022年3月20日

日本学士院賞に東大関係者4人 医学系の河西教授は恩賜賞も受賞

 日本学士院は14日、学術上特に優れた研究業績をたたえる日本学士院賞の受賞者9人を発表。東大関係者は河西春郎教授(医学系研究科)ら4人が選出された。河西教授は中でも顕著な業績に贈られる恩賜賞も併せて受賞した。

 

 

 河西教授は、大脳の神経細胞間の結合を担うスパインシナプス(神経細胞間のつながりの構造)が、学習によって形態と機能を素早く変えることを明らかにした。シナプス細部の形態や運動と、脳機能や精神疾患との関係を解明した。またシナプスの運動が従う法則を見出し、神経科学分野の発展に多大な貢献をした。

 

 武田晴人名誉教授が解明したのは、戦前の三井・三菱・住友の三大財閥の経営戦略と投資資金について。経営戦略は子会社群の提案を踏まえ本社が決定していた一方、資金調達の責任を本社が負っていたため子会社には投資などに高い自由度が与えられていた。近代日本経済史・経営史の研究に貢献したことが評価された。

 

 齋藤英治教授(工学系研究科)は、スピン流(電子の持つ性質「スピン」の向きによって電子が異なる向きに流れる現象)によって強い電場が発生することを観測。この発見により世界で初めてスピン流の検出が可能となった。さらに研究を展開させ、スピン流を扱う科学分野の基礎物理現象も多く観測した。齋藤教授の研究は熱発電などへの応用なども期待されている。

 

 阿部彩子教授(大気海洋研究所)は東大らが開発した気候モデルを用いて、さまざまな条件下での地球の気候を再現。さらに新たに開発した氷床の成長や後退を表現するモデルと組み合わせることで、地球の氷期─間氷期のサイクルを再現することにも成功した。また、気候変動の鍵は日射量の変化だけでなく、氷床とその他の要因の相互作用などによることも指摘した。

 

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