日本学士院は3月12日、優れた研究業績をたたえる日本学士院賞の受賞者9人を発表した。東大関係者では、森元庸介教授(東大大学院総合文化研究科)と岡部繁男教授(東大大学院医学系研究科)と中村仁彦・東大名誉教授の3人が受賞した。
森元教授は、キリスト教において不道徳とされてきた演劇がどのように合法化されてきたかを明らかにした。演劇を許容して良いかという問いをめぐる道徳神学の議論を整理し、西欧の社会と文化における演劇の役割と価値を問い直したことが評価された。
岡部教授は、神経細胞内でのタンパク質の動きと輸送を蛍光標識によって可視化する技術を開発した。その技術により、軸索(他の神経細胞に情報を伝達する機能を持つ神経)の動的な変化を明らかにした。岡部教授は、2022年秋の紫綬褒章も受章している。
中村名誉教授は、人型ロボットの運動の制御と、それを可能にする高速計算の理論的基盤を整備した。人間の全身運動の計算モデルも開発し、バイオメカニクス(生物の運動などを力学的方法で研究する分野)への貢献をした。