日本学士院は12日、優れた研究業績をたたえる日本学士院賞の受賞者10人を発表し、石井志保子東大名誉教授ら4人の東大関係者が選出された。石井名誉教授は、中でも優れた業績に贈られる恩賜賞も受賞した。
石井名誉教授は、図形中の滑らかでない点「特異点」を研究。ある理論から記述された特異点を別の理論からも記述することで、諸概念の関係を発見した。世界的数学者ナッシュ氏の問題提起への否定的解答は、学界に衝撃を与えた。
久田俊明東大名誉教授・杉浦清了東大名誉教授は、タンパクの収縮運動から血液の搬出に至る全階層を一体的にシミュレーションできる心臓モデルをスーパーコンピューター上に構築できることを示した。一條秀憲教授(東大大学院薬学系研究科)は、ある分子群が環境変化に応答する仕組みを解明。この仕組みの破綻が筋萎縮性側索硬化症(ALS)など多様な疾患の原因となることを発見した。