キャンパスライフ

2020年6月6日

【各学部4年生に聞く 学生生活紹介】④文Ⅱ→工学部、理Ⅰ→理学部

 各学部の4年生に進学の理由や学部での授業、生活について話を聞き、ウェブサイトやパンフレットだけでは知ることのできない生の声を紹介する。今年は対面での学部ガイダンスが中止され、特に情報を得る機会が少ない。どの学部や学科に進むか決めきれていない人はぜひ参考にしてほしい。(時間割は3年次のもの)

 

・文Ⅱ→工 都市工学科都市計画コース

 

伊藤 斉(いとう せい)さん

 

少人数でアットホームな雰囲気

 

 地理が好きで文系を選択、文Ⅱに進学した。1Sセメスターの成績が経済学部進学に必要な点数を大きく上回ったため、経済学部だけに固執するのはもったいないと他の学部のことを調べてみることに。そこで出会ったのが工学部都市工学科だった。「もともと地理や街歩きが好きだったのに加えて、研究室などにこもって勉強に多くの時間を費やすことに憧れがありました」。都市工学科は文科生への要求・要望科目がないことも進学の後押しになった。前期教養課程では、レポートは苦手だったため試験評価で、かつ興味のある授業の履修を心掛けた。

 

 都市工学科は建築、都市デザインから法律や制度まで都市に関するあらゆることを扱う。都市に関して多様な興味や得意分野を持った学生が集まるのが特徴だ。建築学科、社会基盤学科との違いをあえて挙げるならば扱うスケールだが、これらの学科の授業も履修可能であり学科の壁を意識せずに勉強できる。

 

 もっとも印象に残っている授業は3Sから4Sまで各セメスター週6コマを費やす「都市工学演習」だ。具体的な都市計画についての課題が提示され、グループワーク形式で取り組む。3Sセメスターには与えられた敷地での集合住宅やオープンスペースの設計、3Aセメスターには神奈川県横須賀市の数十年後を見据えた都市計画の基本方針の立案をした。「課題自体も楽しく、コミュニケーションスキルや都市の感覚も得られてすごく有意義でした」

 

 都市計画コースの学生数は各学年30人ほど。製図などの課題に取り組む演習室には常に人がいてアットホームな雰囲気だという。研究室配属は4年生の春、1年かけて卒業研究に取り組む。

 

 卒業後は約7割の学生が修士課程に進む。修士課程修了後は官公庁や建設業界、不動産業など都市に関わる仕事の他、商社や金融業など専攻にとらわれない業界に進む人もおり進路は多岐に渡る。伊藤さん自身は修士課程に進学し都市設計を学ぶつもりだ。将来は都市に関する職業に就くことを希望する。「ただ、設計を続けることにこだわりはなく、就職はまた別にじっくり考えていきたいです」

 

 

 

・理Ⅰ→理 生物学科B系

 

齋藤 愛香(さいとう あいか)さん

 

高校生物未修でも基礎から幅広く

 

 前期教養課程に在籍している間は興味を引く学科が見つからず、ひとまず「就職に有利そう」と考えていた工学部電気情報工学科を目指していた齋藤さん。一転して生物学科に進学したきっかけは「適応行動論」という授業だった。「人類の起源や進化論について話を聞くうちに、生物としての人類に興味を持つようになりました」

 

 そんな齋藤さんは実は高校で生物を履修していなかった。生物学科の中でも高校時代に生物選択だった人は半分ほどだという。それでも「2年次の講義で生物学を基本から網羅的に教わり、初心者でもさまざまな分野に視野を広げることができました」と話す。「理学部には分子レベルの生物学に特化した生物化学科や、情報科学を取り入れた生物情報科学科もありますが、生物学科は分子レベルから個体・集団レベルまで幅広く生物学を学べる点が特色です」

 

 生物学科の学生は3年次からA系(人類学)とB系(基礎生物学)に分かれ、授業は実習が中心となる。もともと人類学に興味があったが、実際にマウスなどを取り扱って実験をしたいと考えるようになり、2年次の1月にB系を選択した。

 

 B系の実習の特色は三崎臨海実験所や日光植物園などの施設を利用した採集・観察だ。「数日から1週間ほど泊まり込みで植物園の植生を調べたりグループで研究発表をしたりするので、学科生とはすぐ仲良くなりました」。平常時の授業では午後に生物学系のさまざまな研究室を巡り、実験を中心とした実習を行う。「実習レポートの負担は重いですが、A系B系共通の学科控室に集まってレポートに取り組むうちに交流も広がります」

 

 学科の卒業生は9割以上が大学院に進学する。「生物学が今まさにホットな分野だと分かった」と話す齋藤さんも修士課程に進むつもりだが、研究室選びについては「まだ興味分野を絞りきれていないため、理学系研究科だけでなく農学生命科学研究科や新領域創生科学研究科の研究室も候補に入れながら研究室選びをしようと思っているところです」。これも生物学科で視野を広げたおかげかもしれない。


この記事は2020年5月26日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を掲載しています。

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