各学部の4年生に進学の理由や学部での授業、生活について話を聞き、ウェブサイトやパンフレットだけでは知ることのできない生の声を紹介する。今年は対面での学部ガイダンスが中止され、特に情報を得る機会が少ない。どの学部や学科に進むか決めきれていない人はぜひ参考にしてほしい。(時間割は3年次のもの)
・文Ⅰ→法 第3類(政治コース)
高度な授業と試験 授業外の活動も積極的に
入学時は教養学部で国際関係を学びたかったという野坂さん。しかし語学で思うような成績が取れず、1年次の後半に法学部への進学を考え始めた。法曹志望者が多いサークルに入っていたことや、官庁への就職を希望するようになったことも法学部への進学を決意する後押しとなった。「法的思考力を養いたいと思うようになりました」
当初は法学を主とする1類、2類を考えていた。しかし2Sセメスターから始まる専門科目で、法学系科目より政治学系科目の方により興味が向いた。元々国際関係を学びたかったこともあり、必修が少なく幅広く政治の授業を履修できる3類を選択。「国際関係は政治学や法学との関わりも強く、今では3類に進学して良かったと感じています」と語る。
法学部の授業は、履修者の規模を問わず教員が一方的に話す形式が基本。3類は1類や2類と比べて人数が少なく、少人数授業も比較的多いが、それでも通常の授業を通じて人間関係を築くことはほぼないと話す。代わりにつながりが生まれるのが、少人数のゼミや法学部生の3分の1が所属する学生団体である法律相談所だ。「人脈を築いて情報を集められるとさまざまな場面で有利だと思います」
3類の特徴としてまず挙げられるのが、教員の指導の下1万2千字程度で仕上げるリサーチペイパーが必修となる点。3年次に終えてしまう人もいるが、就活との関係で4年次まで残す人もいるなど取り組む時期は人それぞれ。「学習環境に恵まれた東大にいながら論文執筆というアカデミックなことに挑戦しないのはもったいないです」。法曹志望が多い1類や2類に比べて法学政治学研究科の総合法政専攻、公共政策大学院への進学希望者が比較的多いのも3類の特徴だ。
法学部の試験はどの授業も範囲が膨大で2カ月以上前から試験勉強する人も。さらに法曹志望者は司法試験に向けて、その他の人も就活に時間を割く必要があり学生生活は楽ではない。しかし大学院の授業やゼミを3年次から履修できるなど、大学院の高度な議論や思考を早くから体験できる大きな魅力がある。「3類は学問的研さんを積みたい人に向いていると思います」
・文Ⅱ→経 経営学科
実務と理論を幅広く学ぶ
高校時代から経済や経営に興味があり文Ⅱに入学。前期教養課程の頃から数学が苦手で、経済学部の授業が始まった2Aセメスターには必修の数学の授業で非常に苦労した。「経営学科で扱う内容は言葉で理解できるものが多く学びやすそう」と2Aセメスターの試験前には経営学科に進むことを決めた。
経営学科の授業は実務に近く就職後も役立ちそうだと語る。企業の経営者、資産運用のプロなど実務経験のある人を講師に招く授業もあり「難しい理論を経験を交え分かりやすく説明してもらいました」。しかし勉強を進めるうち経済理論の面白さに気付き、経済学科の授業も取るようになった賀さん。経済学部全体でも学科間の講義の行き来は盛んだ。「実務寄りの経営、理論寄りの経済の授業を同時並行で受けることになり、学問の幅広さを感じられて面白いです」
学部の授業は日本語中心だが、ほぼ英語で行われる大学院合併の授業を学部生も履修可能。「専門用語を英語で覚えると外国の学生と経済の話をできるようになります」。4Sセメスターに取る授業のうち約半分は合併の授業だ。
賀さんは輪読や興味のあるトピックに関する発表を中心とする二つのゼミに所属している。うち一つでは4、5人の班に分かれるのでささいなことでも互いに質問しやすい。ゼミにより雰囲気が違うが、賀さんのゼミは「真面目に勉強する人が多く、ゼミの時間以外でも勉強会を開くこともあります」。
もちろんゼミ後に一緒に食事したり、ゼミ合宿をしたりと親睦を深める機会も多い。「ゼミには興味関心が似た人が集まり友人を作りやすいです」。インゼミと呼ばれる他大生との合同ゼミ、ゼミ単位での卒業生との親睦会なども開かれ、ゼミが交流を広げる場にもなっていると語る。
卒業後に大学院に進む人は1割弱。賀さんのゼミは進学者が2割程度と比較的多いが自身は就職を目指す。「迷いましたが、優秀なゼミ生たちと接するうちに経済学を深く研究するのは厳しい道だと気付きました」。卒業生の就職先は官公庁、日本銀行や民間企業など幅広く、進路は模索中だ。
【連載:学生生活紹介】
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- 文Ⅲ→文学部、教育学部、教養学部
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- 理Ⅰ→薬学部、理Ⅲ→医学部
この記事は2020年5月26日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を掲載しています。
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