東大が9月10日に発表した授業料改定案と学生支援の拡充案に対し11日、東京大学教養学部学生自治会(自治会)と学生有志による団体「学費値上げ反対緊急アクション」(緊急アクション)がそれぞれ反対する声明を発表した。両者は声明で、総長対話の形式や、学生がキャンパスに集まらない夏期休暇中に同案を発表したことなどを挙げ、本部が学生の声に耳を傾けていないなどと批判している。緊急アクションはこれに加え、声明中で同案の問題点も主張した。
緊急アクションは、「『授業料改定案及び学生支援の拡充案』公表に対する抗議声明」を発表した。声明では①高等教育は憲法や国際条約上低廉であるべき②学生支援拡充策について、個別の事情に応じられる包括性と事務的な簡潔性・明快さを両立させるのは非現実的③増収分の使途には緊急性がなく、大学全体の収入に対し増収分は軽微④学内の合意形成プロセスが無視されている⑤授業料改定を学士課程は2025年度入学生から、修士課程は29年度入学生から行うことは、在学生からの反発を和らげるためだけの上、年代による差別だ-とした。さらに、東大に対し学生との交渉を行うよう求め、学生側にも「一方的かつ誠実さに欠ける執行部の対応を無批判に受け入れないこと」を求めた。
自治会は「授業料値上げに反対する緊急声明」を発表した。学生がキャンパスに集まらない夏期休暇中の発表は「授業料の値上げを強行しようとする大学本部の卑劣な手法」だとして非難した上で、①東大側が再度の総長対話の開催を否定したことは、学生に関わる問題を学生と共に考える仕組みづくりを進めるとする藤井総長の表明と矛盾する②授業料値上げ決定がすでにされたかのように取れる一部報道を東大は放置しており、報道を介した授業料改定の既成事実化の意図があるなら非難する-と主張した。また、学生にアンケートをとり意見を集約するとした。
自治会は13日にも、真船文隆大学院総合文化研究科長・教養学部長に陳情書を手渡し、真船教養学部長に「教育研究評議会の一員として大学本部に対して強硬姿勢を改めるよう諌(いさ)めて」ほしいと求めている。