6月10日、東大の藤井輝夫総長は「授業料の値上げに関する報道について」と題するコメントを公表した。授業料値上げが決定されたかのような報道は「不正確」であると述べ、授業料改定の検討状況について説明した。
総長は運営費交付金、授業料収入などの限られた財源を活用して、教育研究環境の充実に加えて物価・人件費・エネルギー価格などの高騰に対処する必要性を強調。「(総長に就任してからの)過去3年にわたりさまざまな施策に取り組んで」きたとしたうえで「国立大学法人化以降20年間据え置いてきた授業料」の改定を検討するに至ったと説明した。
総長は東大内外のさまざまな意見に耳を傾けて検討をしてきたと述べ、6月21日にオンライン実施される「総長対話」にも言及。こうした「対話」の中で、現在の検討案を学生に示すとした。
6月7日には国立大学協会理事会が声明を発表している。ここでも、運営費交付金が減額された現状で物価高や円安の影響により大学経営は「限界」に達していると述べられ、国民に対して「理解と共感、そして力強い協働」を求めている。