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2025年1月18日

24年度学部交渉 自主ゼミ枠拡大実現 駒場に食料自販機設置も協議中 公欠は実現せず

 東京大学教養学部学生自治会(自治会)と教養学部(学部)は昨年12月10日、21KOMCEE West レクチャーホールで学部交渉本交渉を開催した。自治会からの要求に対し、学部は自主ゼミの教室などの借用枠の拡大を認めた。キャンパスへの食料自販機と休養室の設置要求に学部は前向きな反応を示したが、公欠制度の整備には否定的だった。

 

2024年東大教養学部の学生交渉の様子
学部交渉の様子。左側が自治会側で右側が学部側=昨年12月10日、21KOMCEE West レクチャーホールで(撮影・平井蒼冴)

 

自主ゼミに対する借用枠の拡大

 

 自主ゼミ(担当講師や授業テーマを含め学生が企画するゼミ。自治会の審査を経て自治会が開講)に対し、学部が教室や備品などを7枠を限度に貸し出している。自治会は自主ゼミへの申請数の増加に伴い、自治会の審査で高評価を得ているゼミでも自主ゼミ認定されない例が出ていることから、枠を2枠増やし9枠にするよう要求した。

 

 これに対し学部は、枠数の増加による自治会内での運営負担増加は対応可能な範囲だとの主張を踏まえ、来年度のSセメスターからの枠の拡大を認めた。学部は、ゼミの枠が増えても質を維持できるよう、引き続き慎重に審査を行うよう自治会に求めた。

 自治会は後日、来年度のSセメスターの自主ゼミに申請した団体に対し、自主ゼミの開講数制限を7枠から9枠に緩める予定だと連絡した。

 

休養室の設置

 

 自治会は学生が体調不良になった際に利用できる休養室が駒場Ⅰキャンパスにないとし、駒場保健センターに休養室を設けるよう要求。駒場保健センター(保健センター)のベッドは、次の患者が来た場合に譲らなければならないと指摘した。

 

 学部は、保健センターを管轄する東大保健・健康推進本部からの回答を代読。必要時には診察室のベッド以外のスペースを診察前後の有症状者の休養場所としており、開所時間中は原則利用できるようにしているという。自治会は診察を受けた後、休養を希望してもすぐに帰される例があったと指摘。学部はコロナ禍では感染拡大防止のため、そうした対応が取られた可能性があるが、現状については確認できていないと答えた。保健センターが体調不良や怪我の場合一時的な療養、手当をうけられる場所としてさらに広く認識されるよう、学部は担当部署に広報のお願いをするとした。

 

食料自動販売機の設置

 

 現在キャンパス内で間食などを買える場所は、学生会館やアドミニストレーション棟の食料自動販売機や生協購買部に限られている。自治会はいずれも講義棟から離れた場所にあり不便だと指摘。屋外に設置した場合には災害時の備蓄食料としても活用できるとし、食料自動販売機の設置を学部に要求した。場所は駒場7号館が望ましいとした。

 

 学部は設置の可能性や場所について、自動販売機を設置する生協と協議していると明かした。一方、自動販売機を屋外に設置するにはキャンパス計画室の許可を得る必要があり難しいと答えた。

 

欠席の取り扱いに係る指針の策定

 

 東大には公欠制度がなく、欠席の事由に対する配慮は個々の教員の裁量に委ねられている。自治会は欠席に対する扱いが統一されていないため、前期教養課程の成績を用いる進学選択で不公平が生じていると指摘。公欠制度を設けている他大学の例を挙げ、学部が教員に対し欠席の取り扱いに関する指針を出すよう要求した。昨年の学部交渉でも公欠制度について議論が行われた。その際に制度の創設は難しいことが確認されたとして、自治会は制度ではなく「欠席の取り扱いに係る指針」の提示によって、教員や学生の参考になるようにすべきと主張した。特に感染症や災害、交通機関の遅延による欠席や忌引について配慮するよう求めた。

 

 学部側は、自治会が要求している統一的な基準を設けることは検討していないと回答した。一部の感染症については自宅療養を推奨しているものの、怪我などと同様に登校するかどうかは学生の判断に任せていると説明。授業での所定学修時間を単位取得に際し求める大学設置基準や、前期教養課程で開講される授業の多様性からも基準の制定は困難と回答した。その上で、教員向けの資料には前期教養課程に公欠制度はないが、個々の欠席について配慮するかは教員の裁量に委ねられていると記載されており、授業の他の履修生との公平性について留意するように依頼していると説明した。

 

 

 

 学部側の寺田寅彦教授は初めて学部交渉に参加。「(自治会側が)素晴らしい準備をしてくださっていることに感謝している」と述べた。

 

 自治会側のガリグ優悟会長(当時)(文Ⅲ・2年)は「去年は実質ゼロ回答のところが多かった」が「(今年は議論が)大きく進んだ学部交渉になったのではないか」と分析。「今後学生の関心を集められるよう広報活動を頑張りたい」と話した。

 

 学部交渉とは、自治会がキャンパス運営の改善を求めて年1回行う、教養学部との交渉のこと。過去の交渉では、90分授業の継続や自習室の設置などが実現した。対面での本交渉で扱われた4項目に加え、自治会の要求に学部が文書で回答する項目もある。今年は、庇(ひさし)付き駐輪場の設置やUTAS(学務システム)での基本平均点計算システム搭載、コミュニケーションプラザへの証明書発行機設置を自治会が求めている。

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