藤田誠卓越教授(東大工学系研究科)が開発した分子構造解析技術を中核の一つとする社会連携講座「統合分子構造解析講座」が11月1日付で設置される。藤田卓越教授定年退職後の教育研究を支援する「藤田ナノサイエンス基金」も設立された。
藤田卓越教授はノーベル賞・文化勲章受章者やそれに準ずる業績を有する現役教授に贈られる「東京大学卓越教授」の称号を昨年3月に授与された。23日にはノーベル賞クラスと目される研究者を発表する2020年度クラリベイト・アナリティクス引用栄誉賞を受賞している。
統合分子構造解析講座は佐藤宗太特任教授、藤田卓越教授、中間貴寛特任助教が運営。製薬、農薬、材料、空調などの事業を行う民間企業19社の出資で設置され、さまざまな技術分野の分子構造解析の統合を図る。さらに大学と産業界が一体となった技術開発拠点の形成を目標とする。
東京大学卓越教授は75歳までの雇用が特例的に認められる。定年退職後も教育研究活動を継続できるが、文部科学省から無償で提供を受ける研究教育施設の設備費、学生定員、スタッフ定員、運営費などは全て途絶える。藤田ナノサイエンス基金は研究活動継続に必要な外部資金の調達を目指すほか、若手研究者や博士学生の支援に使われる予定だ。