新入生にとって、いざ入学…となったときに気になるのが今後の生活。東大生は普段どんな生活をしているのだろうか。今回、現役東大生である編集部員の1日を「節約」という視点から見つめるため座談会を開いた。(構成・平井蒼冴)
参加者
【海】文Ⅲ・2年。茨城県出身。実家から通学している。
【文】理Ⅱ・2年。福岡県出身。一人暮らし。
【拓】文Ⅲ・2年。香川県出身。県人寮に住んでいる。
【冴】文Ⅰ・1年。神奈川県出身。実家から通学している。
5分遅刻はあえて!? 東大生の日常生活

──1日の流れを見ていきましょう。朝ごはんは普段どうしていますか
【海】私はね、実家暮らしなんでご飯は起きたらあります。
【冴】家が大学から遠いと思うんですが、1限の時はどうでした?
【海】親も兄弟も午前6時30分くらいに家を出るので、特に問題はなかったですね。
【文】私は毎日朝ごはんを作ってますね。材料費だけだったら1食200円を切りますね。忙しいと朝食は適当になりがちなので、ちゃんと作りたいです。普段は10分ほどで作ってますね。
【拓】県人寮に住んでいるので、平日と土曜日は朝食と夕食が出ます。朝食は午前7時から8時45分の間にだけ提供されるので間に合うように起きようと頑張っていますね。ただ、僕は生活習慣が終わっているので半分くらいは食べてないですね(笑)。食事の提供時間が決まっているので朝早く出発しなくてはいけない時とか、夜更かし後の朝とかはやっぱりしんどいですね。
【文】この座談会は2年生が多いですが、今は生活がいい加減になることも多いですよね。でも1年前の入学したての頃はちゃんとする意志があって、結果として節約しすぎたり、逆にお金を使いすぎたりとかもありますね。
──皆さんはだいたい何時くらいに家を出ますか
【文】授業の30分前には大学にいたいと思っているので、1限があれば午前8時前とかですね。
【海】授業の2時間前には家を出なきゃという感じだったので、1限だったら午前6時30分くらいに、2限でも午前8時くらいには出発していましたね。
【文】1年生の時には早起きして、授業の始まる1時間前に行っていた時期もありました。犬の散歩をしている人を横目に誰もいない図書館前のベンチで勉強してましたが、これは新入生の皆さんにおすすめしたいですね(笑)。
【拓】僕の場合は5分授業に遅れて行きます。興味のない授業には遅れて行くんです。なんで5分かというと、出席コード(出欠管理のため授業の初めに教員から示され、学習管理システムに入力するコード)の入力時間にぎりぎり間に合うからです。大学生にとって出席コードは命の次に大事なものですからね(笑)。1年生の頃はしっかり勉強に取り組んでいましたが、2年生になってから抜くところは抜くようにしています。僕は面白いと思っている授業はちゃんと出ますし、どこに力を入れるかはおのおのが決めていけば良いと思いますね。
東大生㊙節約術に迫る
──キャンパスにいるときに小腹が空いた時や、飲み物がなくなった時など、ちょっとした出費の節約で意識していることはありますか
【海】飲み物は基本的に家からお茶を持って行くので、お金はかからないです。軽食は生協購買部で買うと思いますが、学食マネー(生協の食堂や購買部で使える電子マネー)で払っているので、お金を使った気がしないです。学食マネーで払うとポイントも貯まりますし、最近はそのポイントで食いつないでいます。
【文】駒場だと実は近所のスーパーの方が安いかもしれないですが、購買部より遠いですし、利用するかは微妙ですよね。
【拓】一時期、100円ショップでおにぎり用のケースを買って家で作ったおにぎりを持って行ったら節約になるのではと考えたことがありました。ただ、寮に住んでいるとそんなに自炊をするわけでないので炊飯器を買う方が損なんですよね。実はパックご飯を買った方がお得なんです。

──昼食はどうしていますか
【文】私は弁当を持ってきていますが、学食で食べるより絶対安いのでおすすめです。ただ、電子レンジがないと冷たいのが気になりますね。まだ新生活に慣れていないころは作っていなかったですが、1年生の5月くらいから作り始めたはずです。
【海】これはすごい。
【文】そんなに大変ということもなくて、夕飯を多めに作った余りを弁当に詰めることが多いので、慣れれば意外と実践しやすい気がします。
【海】昼食は学食で食べますけど、2限で授業が終わる日とか、授業が3限以降からの日はそもそも学食を使わないです。なので利用回数は人より少ないですね。学食のおすすめメニューは「白身フライタルタル」です。カレーとかいう甘えた選択肢を取る学生も多いですが、カレーは量に対して値段があっていませんね(笑)。(編集部注:個人の感想です。)なので味と値段と量を総合して考えると「ライス(小)」と「味噌(みそ)汁(豆腐・わかめ)」、「白身フライタルタル」を買うのが一番いいでしょう。
【文】学食といえば、新学期が始まった頃はみんな真面目に授業に来るから学食がすごく混んでいますよね。それが嫌で弁当を作り始めました。
【拓】学食より購買部の食品の方が安いことが多いですが、中でも焼きそばが一番安い気がします。百数十円でそれなりにお腹にたまるので、学食マネーが少ないときには買ってますね。

──夕食はどうでしょう
【海】基本的には朝と同じだけど、外食の機会は多いよね。しかも進級すると後輩にご飯をおごる必要が出てきます。出費はかさむけど、毎日やるわけではないし大したことではないかな。ここで節約とかはあまり考えないですね。強いていうなら、サイゼリヤに行くとか(笑)。
【拓】一番の節約方法は先輩とご飯を食べに行くということですね。東京はおいしいものが多いので自分は先輩に誘われたら絶対行きますね(笑)。
【文】4月から5月くらいまで新歓期ですからね。
【拓】20歳になってお酒が飲めるようになると、そこでも誘ってくれたりするからね。交友関係を広げるという意味でも、いろいろなサークルに入るのは重要ですね。そしていつかご飯に誘ってもらえたらいいし。
【文】私は基本自炊ですね。朝よりはちゃんと作るけど、それでも一食300円は切っているはず。高い材料は買わずに旬の安いものを買うようにしています。季節のものも食べられて一石二鳥です。
──飲み物が無くなった時は、どうしていますか
【冴】キャンパス内にウォーターサーバーがありますが皆さん使ってますか?
【文】毎日使っていますね。入学して最初の方はお茶を持って行っていましたが、途中から面倒になりました。
【拓】僕は温かいものが飲みたいのでお茶を入れて家から持って来ています。でも夏は結構お茶を飲んじゃうのでウォーターサーバーの水で継ぎ足して利用しています。
【文】やっぱり自販機は値段が高いよね。たまに買ったりはするけど。

二外の辞書はどうする?! 教科書・辞書をどう買うか教科書・辞書をどう買う
──教科書はどうしましたか
【冴】新品の教科書を買ったはいいけど、ほぼ使わない授業もあって、もったいないと感じたことがありました。
【文】自分も新品を生協で買っていましたね。教養学部の自治会が中古の教科書を売っていますが、買ったことはありますか?
【拓】僕は自治会で買いました。定価の3割の値段で買い取って、5割の値段で売ってくれます。絶対に3割の値段で買い取ってくれるという保障があるので便利だと思います。中古の本は冊数が限られているので入学後早めに自治会室の場所を探しておくと良いでしょう。学生会館の3階、315号室です。
【文】実験の科目でレポートが付属された教科書だと、中古ではダメなので注意が必要ですね。
【拓】ちなみに自治会室では、白衣も貸し出しているので理系の皆さんにおすすめです。
【海】でも、文系はスポ身(いわゆる体育。「身体運動・健康科学実習」)と英語一列と第二外国語と、あと情報(いずれも必修科目)の教科書さえ買えば他は買わなくてもいいと思うし、そんなに費用はかからないんじゃない?1万円超えないでしょ。
【文】なんだかんだ何かしらの参考書は必要じゃないですか?この差って文理の差だったりするのかな。ただ、入学後すぐの時期は本の出費が多くなりがちですよね。躊躇(ちゅうちょ)するような金額の教科書も多いですよね。
【拓】第二外国語の辞書とか高いよね。
【海】第二外国語の辞書なんて、買わなくていいですよ。
【拓】いや、あった方がいいんじゃないかな…。
【文】電子辞書がいるらしいと聞いて買ったけど、後から紙の辞書を指定されて、損したこともありましたね。あと、「ジャパンナレッジ」(小学館グループが提供するオンライン辞書・辞典サイト。東大のアカウントがあれば無料で利用できる) とかもあるから、授業に出て様子を見て買うのでもいいのかも。
【拓】ジャパンナレッジは百科事典としても役立ちますもんね。
【海】生協書籍部は、生協の組合員なら10%引きの値段で本が買えるから節約効果は大きいですね。あと、新入生は予備校とかに再現答案を送れば、図書カードがもらえることがあるからそれで買うのもいいですね。5000円くらいもらいました。
東大生のアルバイト事情に迫る
──アルバイトはしていますか
【海】東大新聞自体がアルバイトみたいなものですからね。
【文】活動補償費がもらえますからね。ところで皆さんは収入をどんなことに使っていますか。
【海】趣味のグッズを買ったりしていますね。自分の部屋に置いています。
【拓】僕は本を買いますね。興味のある分野の新書を買ったりします。テスト期間の前後だと書籍部で文庫本と新書本、コミックの中から3冊買うと15%引きされるフェアをやっているのでそれを利用しています。駒場Iキャンパスから駒場東大駅を挟んで反対側に古本屋があるのでそこでいいのがあったら買ったりもしています。本郷にも古本屋は多いですが、眺めるだけでも楽しいですね。
【文】月いくらまで使う、みたいな制限をかけたりはしていますか?
【拓】使うところと使わないところを明確に分けた方がいいと思っていますね。本だったら買って損はないと思うので、それなりにお金は惜しみません。ただ普段の食事とかは節約しようと思って割引の効くカツ丼店で500円くらいでカツ丼を食べることが多いです。
【文】あと、私はキャンパスの移動で3年次に引っ越すというのは分かっていたので、引っ越しの時邪魔にならないよう余計なものは買わないようにしていました。だからあまりお金は使わないようにしていましたね。
──東大新聞以外のアルバイトは
【海】個別塾の講師をしています。バイトのために東京に出るのは嫌だと思っていたので地元で探して、塾講師だと割もいいと思ってやっていますね。
【拓】模試などの採点バイトをやっています。オンラインでできて、時間の融通が利きやすいからですね。普段の採点は出来高制ですが、採点の管理をするようになると時給制になります。オンラインでも色々な働き方があります。
【冴】予備校のチューターをやっています。出勤時間が決まっていて、時間の融通があまり利かないので、用事が入ったりすると大変ですね。欠勤する際には自分で代理を見つける必要があるんです。見つからなかったら放置でもいいのですが。集団塾とかも出勤日は固定ですよね。
【海】私の場合出勤日は月の初めに指定できますね。オンラインほどではないにせよ、融通は利くのでおすすめです。
【拓】最近はギグワーカーのような感じで1日だけバイトに入れるものもありますね。社会との接点を持ちたいという思いがあるのなら、割の良い教育バイトの他にもいろいろな選択肢があると思います。新入生はそう言った選択肢も考えたらいいと思います。
──家計簿で収支を管理したりはしますか
【文】してます。ただ、面倒臭いですよね。
【拓】僕はしてないですね。
【海】してた。今はしてない。
【文】レシートの写真を撮るとそれをそのまま家計簿に記録できるなんてものもありますよね。
【拓】家計簿をつけて、得をしたことはありますか。
【文】このくらいは貯金をしようとか、食費を月々これくらいにしようとか目標を立てた時に、結果を確認するのに良いです。
【拓】自分は家計簿をつけていないのでとにかく出費を抑えて収入を上げるのを意識しています。出費は、だいたい食費と生活費と交際費の三つだと思うんですが、大まかにそれらがどれくらいか把握するのは面倒な人でもできると思いますね。その中でどれが切り詰められるか考えると、一番は食費だと思うので、食費が多いなと思ったら自炊の回数増やそうみたいな感じにしていますね。バイトをすると、お金を稼いだほうが割に合う場合もあるのでちょっと難しくなりますが、これはもう人によります。
──最後に新入生に伝えたいことを
【海】節約も大事ですけど、ちゃんとお金をかけるところにかけるのも人生を楽しく過ごす上で必要です。そこのバランスはそれぞれ考えてもらえればと思いますね。私は一人暮らしをしないことが超節約的だと思っていたので他はあまり節約をしませんでしたが、何とかなっていますよね。
【文】ぜひ料理をしましょうと伝えたいです。楽しい節約法なので。
【拓】じゃあ僕からは県人寮に入ろうと言いたいです。寮生活は楽しく節約にもなります。ぜひ県人寮に入りましょう。ちなみに県人寮は江戸時代のその藩の藩邸の跡地にあったりするので安い割に立地が良いことが多いですよ。私の住んでいる寮は港区にありますし。利便性もありますが、寮はわいわいしていて楽しい。どんな暮らし方が合っているかを考える時って、自分を見つめ直すいい機会だと思うのでぜひ検討してみてほしいです。