硬式野球部(東京六大学野球)は11月13日に法政大学、14日に慶應義塾大学と秋季フレッシュトーナメントを戦い、それぞれ7ー0、0ー10で敗北。15日には5位、6位決定戦で早稲田大学と戦い、9ー0で敗北した。未来のスターたちが続々と出場するも、力及ばず最下位に終わった。(取材・五十嵐崇人、高倉仁美、赤津郁海)
1回戦(対法大) 新人投手続々登板するも大差で敗戦 打線は散発3安打
法大|003011101|7
東大|000000000|0
フレッシュトーナメントは、1、2年生のみが出場するいわゆる新人戦だ。来年以降リーグ戦で対峙するであろう成長株たちが神宮球場に集い戦う。東大は初戦を法大と戦った。
先発のマウンドに登ったのは、秋季リーグ戦にも登板した左腕・松本慎之介(理Ⅱ・1年)。立ち上がりはまず法大の先頭から二者を打ち取り順調そうに見えたが、3番に死球で出塁を許した。続く4番にも中前安打を放たれ、スタンドには悪い流れを恐れる空気が流れる。だがその心配をよそに、相手・5番打者の放ったゴロをショート・小村旺輔(文Ⅰ・2年)が処理し、一塁走者を二塁で封殺し3アウト。二回表も三者凡退で抑え、上々の立ち上がりを見せた。
突入した三回表、内野ゴロと三振で難なく2アウト。だがあと1アウトというところで思わぬ展開に。相手2番、3番打者がともにセンターへ安打を放つと、続く4番には死球を与えてしまう。あっという間にダイヤモンドが埋まり、開幕早々ピンチに陥った東大。相手5番が力強くスイングすると、ミートした球はアーチを描きセンターへ。これが走者一掃の適時二塁打となり、東大は一挙3失点。これでも法大の勢いは止まらず、後続にまたもや安打を浴びピンチが拡大する。ビッグイニングとなってしまうかもしれないという緊張が走る中、続く打者をなんとか中飛に打ち取り大量失点を免れた。四回表では先頭打者に安打を許すも後続を抑え無失点と立ち直りを見せた。
しかし苦難は続く。五回からは右腕・前田理玖(文Ⅲ・2年)が登板したものの、先頭打者に死球与え、間髪入れずに二者連続でヒットを打たれる。点差は4に広がったが、それからは制球を安定させアウトを奪い1失点に抑えた。だが続く六回、またもや死球で出塁した先頭打者が犠飛でホームイン。打者12に対して四死球4の前田の乱調を鑑み、七回からは左腕・近藤克哉(文Ⅰ・2年)がマウンドに登った。ここまで5失点の東大。コールドゲーム(*1)となり試合が途中で終わってしまうかもしれないプレッシャーを背負い、腕を振る。しかし制球に苦しみ2四球で一、二塁に。2死目を取るも、暴投が二つ重なり二塁ランナーが生還。また点を献上してしまった。その後セカンドフライをしっかり捕球し、6ー0の状態で東大はかろうじて八回に進んだ。
八回表には山口周平(理Ⅱ・2年)が登板。法大打線は粘りのバッティングを見せ、3者続けてフルカウントになるも、なんとか無失点で回を抑えた。九回表、垣田聖弥(文Ⅰ・2年)がマウンドへ向かう。しかし、2死二塁と得点圏に走者を背負うと、鋭いレフト前ヒットを打たれ二塁ランナーが生還。最後まで法大打線の勢いを止められなかった。垣田は高校卒業認定試験から東大に入学した異色の経歴を持つ。この日は、133km/hの速球を披露し、今後を期待させる姿を見せた。
一方の東大打線は法大の投手陣に飲まれわずか3安打で試合を終えた。初回から三者凡退が続き、2巡目の四回裏。なんとか流れを引き寄せようと2番・小村が打席に立つ。すると初球から振り抜いた打球はレフトへ弧を描き長打に。二塁まで進んだ小村がガッツポーズを見せると、これに勢い付けられたか、3番の秋元諒(文Ⅰ・1年)は内野安打で出塁。チャンスにベンチも盛り上がるが、後続は内野ゴロに倒れ無得点。1人もホームを踏むことなく試合は終了。東大は残念な黒星から出発した。
(*1) 五回終了時に10点差、七回終了時に7点差の場合試合はそこで終了する
2回戦(対慶大) 投打見せ場なしの悔しい結果に
東大|00000 |0
慶大|52021X |10
2回戦の相手は慶大。昨日の法大戦では無得点に終わった東大、今日こそは未来のスターたちの活躍を見られるか。
先攻は東大。初回から上位打線が次々と打球を外野へ運ぶが、ことごとくフライに打ち取られる残念な結果に。その裏では先発の右腕・高橋直人(文Ⅰ・1年)が奮闘するも、2本の適時打を浴び計5失点。厳しい立ち上がりとなった。
二回裏の途中、マウンドには右腕・武田琳太郎(文Ⅰ・2年)。積極的にチームを鼓舞し士気を高めるも、この回でも適時打を放たれ2点を追加される。
続く三回、武田に代わり登板したのは右腕・永島開(文Ⅰ・2年)。初球からストライクゾーンに投げ込む強気の投球を見せて場内を沸かせ、やっとの思いで無失点のイニングを作った。続けて四回表には3番・伊藤滉一郎(理Ⅰ・2年)が今試合初安打を放ち出塁。反撃ののろしを上げたように思えたが、その後の打者が倒れ得点には至らず。その裏、慶大の代打・延末に本塁打を食らい2点を失い、計9点を追う展開に。
規定により、五回終了または四回表終了時点で10点差の場合、試合が終了する。四回表を無得点で終えた東大には後がない。1点でも取られたら負けとなるピンチに、東大は左腕・近藤をマウンドへ送り込む。必死の投球で2死とするも、最後は適時二塁打を浴びて失点。点差が10点を超えて試合は終了した。
序盤から苦しい展開が続き、開く点差を縮めることはできなかった。
5位、6位決定戦(対早大) 無念のコールド負け
早大|10100205 |9
東大|00000000 |0
シトシトと雨が降る朝、キリッとした冷気に包まれて、フレッシュトーナメントの5位、6位決定戦が開幕した。相手はBブロック3位の早大。昨秋のフレッシュトーナメントで快勝した相手といえど、侮ることはできない。
東大の先発は、今秋のリーグ戦の出場経験もある江口直希(理Ⅰ・2年)。初回、先頭打者をセンターフライに打ち取るも、暴投と三つの四球が重なり満塁のピンチ。続く打者はレフトフライ。これが犠飛となり三塁走者が生還、いきなり1点を失う。しかし二回、2死からの打者をわずか3球で三振に仕留める強気のピッチング。この回は三者凡退で早大打線を抑え込み、雄たけびをあげてマウンドを降りる。
三回には適時打を食らい再び1点を失うも、四回には併殺、五回には遊撃手・小村が三遊間を貫く打球を好捕するなど、味方の好守備にも助けられ無失点に抑えた。
一方の打線、今試合初安打が出たのは四回。3番・秋元が中前へ球を弾き返し出塁すると、相手の失策も絡み三塁へ到達。2死三塁、得点のチャンスだったが、後続がセンターフライに倒れ3死。その後五回にも指名打者・荒井慶斗(文Ⅲ・1年)がレフトへ球を運び出塁するが、得点には至らず。以降東大打線は各回を三者凡退に終え、バットから快音が響くことはなかった。
六回表、早大は攻撃を緩めない。四球や安打であっという間に無死満塁のピンチに。ここで東大は投手交代、松本慎がマウンドへ。しかし登板早々、内野ゴロと適時打で2失点。出鼻をくじかれた松本慎だったが、七回は先頭打者を3球で三振に仕留め、続く2者をフライに打ち取り三者凡退。
八回表、無死一、二塁で松本慎はマウンドを降り、代わりに登板したのは前田。迎えた打者の打球を遊撃手・小村が捕球、二塁、一塁へと送球し併殺を狙うが一塁はセーフ。盗塁を許し1死二、三塁としたところで、相手の打球は高々とレフトへ。この適時打で2点を失うと、続けざまに適時打を浴びさらに3点を献上。計9点を失った東大、前田は悔しさをにじませ降板。続く投手は垣田。2死一、二塁の場面で打球は左前に落ちるが、左翼手・鈴木宥悟(文Ⅱ・2年)がすばやく拾い、ホームで待つ捕手へ見事な送球。味方の好守備にベンチも沸き、鈴木宥は喜びを爆発させてベンチへ向かった。
フレッシュトーナメントの順位決定戦 では、試合時間が2時間を過ぎると新たなイニングに入らず、勝者が決まった時点で試合が終了する。この時点で、八回裏の東大の攻撃が終わると確実に2時間を超えるため、この回の攻撃で勝利しなければならない東大。代打を送り込み攻撃を仕掛けるも、むなしく三者凡退。
早大は今秋リーグ戦での優勝校。新人戦といえど、その壁は高かった。