スポーツニュース

2024年3月5日

【アメフト】「攻めの意識」でTOP8死守 チャレンジマッチ、序盤の大量得点光る

 アメリカンフットボール部(関東1部上位リーグTOP8)は12月16日、TOP8残留を決めた。東大はこの日、アミノバイタルフィールドで駒澤大学(関東1部下位リーグBIG8)と来季のTOP8の座を賭けたチャレンジマッチを戦い、35-21で勝利。積極的な攻撃で前半に築いた大量リードを守備陣が粘り強く守りぬいた。(取材・新内智之)

 

東大|14 2100|35

駒大|7707|21

 

 残留か、降格か。穏やかな小春日和のもと始まった一戦は、冒頭から激しくスコアが動く目まぐるしい展開となった。

 

 駒大のキックオフを自陣20ヤードでしっかり確保した東大はいきなりスペシャルプレーを選択。光吉駿之介(養・3年)が密集を抜け出すとそのままタッチダウン(TD)を奪い、試合開始から1分足らずで先制する。直後、駒大も攻撃権を2度更新しじっくり時間をかけながら敵陣10ヤードまで侵入。その後攻撃を2度失敗しながらも4分半にコート右隅を突破し追いすがる。

 

 落ち着かない試合展開の中、東大は得意のランプレーで状況を打開していく。まず同点となった直後の5分、ショートパスを受けた洞俊樹(経・4年)が一人で約65ヤードを走り抜けエンドゾーンへ。第2Qでは太田明宏(文Ⅱ・2年)が2人がかりのタックルを受けながらもフィジカルの強さを生かした推進力で攻撃権を更新すると、その後も攻撃の手を緩めず。最後は敵陣15ヤードから伊佐治蓮(文・4年)がコート中央を切り裂いた。

 

 直後の駒大の攻撃ではパスを大島健音(文・3年)がインターセプトするとそのままTD。手繰り寄せていた流れを完全に手中に収めるビッグプレーに東大ベンチも超満員の観客席も総立ちでたたえた。その後、互いにTDを取り合うも試合の主導権を渡さなかった東大は、21点差をつけて前半を折り返した。

 

 後半戦もじりじりと圧力をかけ敵陣に侵入する東大オフェンス。それでもインターバルで粘り強さを取り戻した駒大ディフェンスに阻まれ得点には至らない。下級生中心のチームなだけに気のゆるみや詰めの甘さが透ける瞬間も前半戦終盤から見え始め、ヘッドコーチが血相を変えてげきを飛ばすことも。

 雲行きが怪しくなりかねない状況で真価を発揮したのはディフェンス陣だった。守備の時間が長くなる中でも集中力を維持し、駒大の攻撃を阻み続けた。第3Q9分には張田佳生(法・3年)、江原康平(養・3年)が2人がかりで相手オフェンスを後退させ、40ヤードを超えるロングパスが投じられた場面では、松下颯太(理Ⅱ・2年)が相手と競り合ってパスを繋げさせない。

 結局ディフェンス陣は後半をTD1つに抑え込み、オフェンス陣も得点こそ取れなかったもののしっかり時間を使った攻撃を展開。今季を通じてかみ合ってこなかったオフェンス、ディフェンス、キックがかみ合った勝利で来年のTOP8残留をつかみ取り、試合終了後の選手たちは安どの涙を見せていた。

 

中矢陽斗主将(工・4年)のコメント

 オフェンス、ディフェンス、キックの3つがかみ合った。一つが悪いときに他がカバーしたり一つがいい流れを持ってきたら他もそこに乗ったりと、連動している場面が多かった。前半のインターセプトの場面はかみ合ったから生まれた部分があると思うし、後半オフェンスがドライブを続けながらも得点につながらない展開の中でディフェンスが粘れたのも良かった。チャレンジマッチ出場が決まってから、チーム全体で、練習で感情を出す場面が増えるなど、それまで以上に緊張感ある有意義な時間を過ごせたのが充実した成長につながったと思う。

 今日の試合ではこちらの土俵に持ち込めた。最初のプレーでTDを取り切れたのが良かった。あれは前もって準備していたスペシャルプレー。TOP8を守りに行くのではなく、もう一度TOP8をつかみに行く意識を実践できた。反則を少なくするという意識を徹底できたのも良かった。反則をするとドライブが止まってしまう。失点後すぐ取り返す場面が多かったのは、一喜一憂せず試合が終わるまで何が起こるかわからないという意識でやってきたから。実際今日は最後まで自分たちのプレーができたと思う。

 今季は4年生が少なく大変だった。本来なら4年の自分たちがもっと引っ張るべきだったが、今日インターセプトを決めた大島選手など3年生も気持ちを出して頑張ってくれた。下級生の力を借りながら1年間頑張ってくることができた。来年以降もかなり期待できる。

 アミノバイタルフィールドでこんな大歓声が聞けてとても感動した。試合終了の挨拶を終えてスタンドを見た時には「今までやってきてよかったな」という思い。言葉にできない。これまで、厳しい試合でも最後まで応援してくれる姿に救われてきた。今日は応援部の方も来てくれて、圧倒的な応援をしてもらったことで背中を押されたからこその勝利だと思う。皆さんに支えられてきたことを感じた。

 

森清之ヘッドコーチのコメント

 勝ったので、それに尽きる。内容はどうでも良くどんな形でも勝てば良いという試合。

 「この試合に勝った方が来年TOP8で戦う権利を勝ち取るんだ」という意識で選手たちがやってくれた。(東大はもともとTOP8にいたため)失敗しないようにと守りに入ってしまうのが一番怖かったが、立ち上がりで様子見したりしなかった。特にオフェンスが良かった。学生やコーチがそれぞれのパートで分析、準備した戦略もはまった。

 後半は失速したが、何とか逃げ切りたいという思いも出てきたのではないか。今日は暑かったし、うちはメンバー層が薄いので、一部の選手に負担が集中してけが人や足をつる選手などが結構出たことも一因。ディフェンスは、前半で主要メンバーがけがをしたことで若いメンバーが多くなり大変ではあった。ただ、苦しい中でも粘ることができたし反則が少なかったのは良かった。

 今年の4年生はコロナ1年目に入学した代で、人数がすごく少なくて一番しんどかったと思う。来季に向けてはメンバーがほとんど変わらない。若い学年中心のチームなので少し良いとすぐ浮ついて少し良くないとすぐしゅんとしてしまう。そういうアップダウンが激しいところとか、審判の判断の前に、自分の判断で勝手にプレーを勝手にやめてしまうシーンがあって経験も力もまだまだだなというところ。

タグから記事を検索


東京大学新聞社からのお知らせ


recruit
koushi-thumb-300xauto-242

   
           
                             
TOPに戻る