東大アメリカンフットボール部(関東学生1部上位リーグTOP8)は11月12日、横浜スタジアムで慶應義塾大学とリーグ戦第6節を戦い、20―45で敗北した。東大は序盤、慶大の積極的なパスと力強いランに翻弄(ほんろう)され、先制を許す厳しい展開に追い込まれる。それでも今季初めて複数のタッチダウン(TD)を決め競り合いに持ち込むかに見えたが、ミスで流れを失い敗戦。5戦全敗となった東大は、12月16日、TOP8残留をかけて1部下位リーグBIG8のチームとのチャレンジマッチに臨むことになった。(取材・新内智之)
東 大|0 7 7 6|20
慶 大|17 7 7 14|45
無得点に終わり惨敗した法政大学戦から約1カ月。雪辱を期して臨んだ一戦で調整の成果を発揮したいところだったが、随所にパスを絡める慶大の攻撃を止められず序盤からゴールラインを脅かされる。第1クオーター(Q)9分には30ヤード以上のロングパスを通され、その後の攻撃も押し返せずTDを許す。
直後の東大の攻撃では積極的にパスを試みるも通らず。4回の攻撃で10ヤード前進できれば引き続く攻撃権を獲得できるが、パスが通らないまま4回目の攻撃を迎え、攻撃継続を諦めキックでの陣地回復を余儀なくされる。このパントをキャッチした慶大DB・丹羽航大に東大ディフェンスが一人、また一人とかわされていく。結局70ヤードほどの長駆を披露され痛恨のTD。第2Q冒頭にもTDを許し0―24と大きなビハインドを背負う。
冷たい浜風が突き刺さるかのような一方的な試合展開だったが、ここから東大は意地の追撃を見せる。第2Q2分半、林新太郎(文Ⅰ・2年)が一人で20ヤード以上攻め上がるランを見せると、その後も相手ディフェンスをかいくぐる巧みなランを連発。攻撃権を6回更新して敵陣奥深くまで入り込み、伊佐治蓮(文・4年)が待望のTDをもぎ取った。東大にとって9月の中央大学戦以来実に3試合ぶりとなるTDに、静まり返っていた東大応援席も息を吹き返す。
さらに、第3Q序盤には、慶大のパントを難なくキャッチした風間瑛介(養・3年)が、そのまま15ヤード前進。その後のパスには失敗したものの、2回目の攻撃で光吉駿之介(養・3年)が慶大ディフェンスを抜き去って序盤のお返しとばかり74ヤードのロングラン。流れを一気に引き寄せるTDで10点差まで迫ると、横浜スタジアムは「横浜クライマックス」と銘打たれたリーグ終盤戦にふさわしい熱気に包まれた。
今季初勝利とチャレンジマッチ回避に向けさらなる攻撃に期待がかかる中、東大は直後の慶大の攻撃を根気強く素早いタックルでしのぎ、再び攻撃権を得る。立て続けのTDを狙ってランで前進を図るも、相手のタックルにボールをこぼす。好機をつかむ前にミスで自ら流れを手放す形となり、その後は防戦一方。第3Qの終盤から第4Qの序盤にかけ3本のTDを決められ、とどめを刺された。なおも東大はTDを一つ返しトリックプレーを繰り出すなど必死の反撃を展開するが、不発。ダブルスコアでの敗戦となった。
中矢陽斗主将(工・4年)のコメント
まず、入りでしっかり入れなかった。最初のディフェンスでTDを取られ、その次のパントでリターンTDを奪われてしまったのが良くなかった。ただ、その後オフェンスは一度しっかり修正できた。最初のTDについては、時間をかけてTDを取り切るという自分たちのやりたい形を作れたし、後半最初のTDは、ディフェンスから受けた良い流れのままオフェンスにつなげることができた場面だった。しかし2回のファンブルロストなど反則でターンオーバーを許し、うまくファーストダウンを更新できなかったのが大きかった。
最終戦は相手に対してしっかり自分たちがやりたいフットボールをする時間を長くしたい。今日もうまくできた時間はあったが、それができなかった時間が結果的に長くなって負けてしまった部分がある。自分たちがやっていることをやっていくことに尽きる。
森清之ヘッドコーチのコメント
追いすがっていた中盤については、相手のやってくることが分かっており、練習通りにプレーしてそれなりに良いプレーになっていた。それに対し、練習通りにプレーできなかったところはミスにつながっている。
オフェンス、ディフェンス、キッキングの歯車が今年はずっとかみ合っていない。反則、ファンブルロストなどのミスや、せっかくのチャンスで後が続かないなど、この三つが連動する時間帯が少ない。オフェンスが進みだし、ディフェンスが頑張った時間帯もあったが、さらに追撃ができなかった。特に、後半の立ち上がりでTDを1本取った次の攻撃。ファンブルしてしまったが、あの場面でもう1本取れていれば全然違ったと思う。
これができないのはやっぱり力がないから。簡単に修正できるものではないので、オフェンスもディフェンスもキックも、一人一人の選手が練習で力を付けていくしかない。ミスを減らす、良いプレーができるようになる、基本のところをしっかりやっていく。
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