阿部光知准教授(総合文化研究科)らは、花になる芽(花芽)の形成を促すタンパク質の解析により、植物の開花の仕組みを解明した。成果は2日付の英科学誌『デベロップメント』オンライン版に掲載された。
日照時間の長さに応じて葉で合成され、花芽の形成を促す物質はフロリゲンと呼ばれる。茎の先端に運ばれたフロリゲンが受容体に受け取られ、フロリゲン複合体を形成して花芽形成開始に必要な遺伝子の発現を促進すると、植物は開花する。しかしフロリゲンがどの細胞で機能しているかは未解明だった。
阿部准教授らはタンパク質同士の結合を調べる方法により、シロイヌナズナのフロリゲンである特殊なタンパク質を観察。フロリゲンがフロリゲン複合体を形成する様子の可視化に成功し、フロリゲンが機能する細胞を特定した。花芽形成開始後、形成が続く一方フロリゲン複合体が作られなくなることも発見し、花芽形成に別の物質も関わっている可能性が示唆された。
フロリゲンの制御技術が確立されれば、作物栽培で開花時期のコントロールが可能となり、農産業に影響を及ぼすと期待される。