先日、サークル紹介記事で触れた、東京大学服飾団体fabのファッションショウ “non (finito)” が、今週末、5月10日(日)に行われる。場所は王子の小劇場「pit 北/区域」だ。コンテンポラリーダンスサークル KomaPAS を演出協力として迎え、ファッションショウの新しい形式を探る、意欲的な舞台になりそうだ。ファッション、舞台芸術に興味を持っている人は、ぜひ足を運んでみてほしい。
入場料は無料。各回の定員は40名となっているため、事前予約することをお勧めする。
non (finito)
完成という状態は、非常に曖昧なものではないだろうか。制作の過程において、作者は作品が完成しているのかどうかが常に分からない中で、もうこれ以上は手を加えないという判断を下す。いわばその決断は、作者の賭けであり、諦めでもあり、願いでもある。
作者だけが作品を完成させる権限を持つという考えの一方で、観者がそれに加担するような作品も存在する。観者が作品に直接手を加える場合もあれば、観者の存在それ自体が作品の一部となる場合もある。こうした作品の登場も、芸術における完成と未完との境界をより不明瞭にしている。
そして、われわれが扱うファッションという表現において、「完成」は一層その曖昧さを増す。作者が作品をつくり、観者が鑑賞し、誰かがそれを身にまとう。この一連の行為のどこからが完成という状態にあるのか。いや、あるいは、すべての服は誰の手によっても終えられることがなく、永遠に「未完」のままなのかもしれない。
本ショウでわれわれは、「完成」ではない別の状態へと近づく服を呈示することで、ファッションにおいて、さらには何かを作り出すことにおいて、完成とは何かという問いを改めて発することを試みたい。
(公演パンフレットより)
fab代表の木村英恵さん(3年)はこのようにコメントしている。
「この度、当団体は11回目となるファッションショウを開催する運びとなりました。今回のショウは”non (finito)”というタイトルを掲げ、ファッションをメディアに完成とは何か、という問いに挑戦します。
昨今、ファッションショウは多様化の一途を辿っておりますが、その中で我々は服を見せるだけでは終わらない、強度のあるショウを皆様に披露致します。
是非、お誘い合わせの上ご来場ください。メンバー一同お待ちしております。」
(文責:沖田征吾)
fashionshow “non (finito)”
【日時】
2015年5月10日(日) 1st show 13:30- / 2nd show 16:30-
【会場】
pit 北/区域 (王子駅徒歩二分) アクセスはこちら
http://www.h7.dion.ne.jp/~babylon/pit_0.html (pit 北/区域 HP)
【チケット】
無料。press@mode-and-science.net 宛てに、名前・職業・連絡先・観覧希望会(1st,2nd)を記入して予約。