今回紹介するサークルは、東京大学服飾団体fab。数あるサークルの中でも、非常にユニークな「ファッションショウを創る団体」だ。その存在だけでなく、毎年行われるショウもとてもユニークなもので、普段テレビや雑誌で出会うような「ファッションショウ」のイメージをひっくり返してくれる。前回のイベントを記録した映像と写真が、この団体の魅力を強く語っている。ぜひ一度見てほしい。
★twineのショウ動画★
それぞれの服の独特なデザインはもちろん、舞台美術、音楽、照明など、演出面の魅力も伝わってくる。「ファッション」が中心にありつつも、舞台芸術や美術との重なりが感じられ、そうした分野に関心のある人にも面白いイベントになっている。ショウの後に、デザイナーから直接、服のコンセプトや製作過程について聞くことが出来るのも面白い体験だ。現メンバーの原さんに話を聞いた。
―団体について、またどんなメンバーが集まっているかを教えて下さい。
2005年に設立された団体で、現メンバーは8人、男女比は1:3程度です。東京大学の学生を中心に、明治大学や東京外国語大学、国立看護大学校など様々な大学の出身者から構成されており、2、3年生、大学院から加入するメンバーも多いです。服飾や美術はもちろん、写真や建築、音楽、哲学など幅広い関心を持ったメンバーが集まっています。
―普段はどのような活動をされていますか。
週に一度、駒場にて行っている会合が活動の中心となります。服を共同で制作する場面は少なく、基本的には個人で制作した成果を会合でプレゼンし、他のメンバーのアドバイスを受ける、という感じで進めていきます。
―参加するメンバーは全員服作りを行うんですか?
ファッションサークルとは言えど、全員が服を作るわけではなく、演出や広報のみを担当するメンバーもいます。例えば演出のメンバーは、音楽や什器などショウの雰囲気を左右する部分を担うため、fabでは制作に次ぐ重要なファクターになっています。
―ショウを拝見させて頂いたんですが、服も、演出も、舞台芸術とも言えそうなとてもユニークなものですよね。こうしたショウはどのようにして作っていくんですか?
fabのクリエイションとしては、「コンセプトから服を作る」というプロセスを最も重視していて、ただ単にかっこいい服というのではなく、ショウのコンセプトと整合性の取れた作品を作ることが求められます。ショウのコンセプトは、個人個人が最近関心のあることなど、会合での何気ない雑談から生まれることが多いです。
これまでの活動は、『装苑』や『fashionista』など紙媒体をはじめ、fashion-J.comなどWeb媒体にも取り上げられています。また、過去のショウではゲストとしてSOMARTAデザイナー廣川玉枝氏、三宅一生氏、森英恵氏など多数の業界関係者にご来場いただいています。
―新入生のみなさんに向けてメッセージをお願いします
fabは年間を通してメンバーを募集しています。服を作りたい方だけでなく、音楽やグラフィックなどショウを支える部分に携わりたい方も大歓迎です。被服製作の経験よりも、何かを作ること全般に対して強いエネルギーを持っていることが重要だと思います。
今月18日に渋谷seatmaniaにてウェルカムパーティを行いますので、興味のある方はぜひいらしてください。過去のショウ映像の上映や、現メンバー・OBOGとの懇談を予定しています。
ウェルカムパーティ参加に関する連絡先:fab.shinkan@gmail.com
加入・見学・取材などに関する連絡先:info@mode-and-science.net
Web:www.faaaaab.net
Twitter:@fab_tter
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また、5月10日には、pit/北区域(JR王子駅徒歩2分)という小劇場での、11回目のファッションショウを企画している。原さんに内容について聞くと「今回は”non (finito)”というコンセプトを掲げ、既存の「完成」を打ち砕くことをファッションにおいて追求したいと思っています」と、意気込みを聞かせてくれた。 これは以前紹介した、コンテンポラリーダンスサークルのKomaPASとのコラボレーション公演で、ファッションと身体表現が出会う、いつもにましてユニークなショウになりそうだ。両団体が気になっている人、またファッションや舞台芸術に関心がある人はぜひ足を運んでみてほしい。
(文責 沖田征吾)
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