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2020年9月6日

新型コロナ流行下の課外活動 Sセメに半数が活動休止

 東大ではS2タームの授業終了後の7月29日以降、構内における課外活動が段階的に再開された。東大の学生団体は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行によって対面の活動が禁止された期間をどう過ごしたのか。夏季休業中の活動の見通しは。東京大学新聞社は東大の学生団体を対象にアンケートを実施。アンケートを通じて見えてきた課外活動の実態をまとめる。

(構成・中野快紀)

 

 

 

 

 東大は3月26日、COVID-19の流行を受けて構内における課外活動と課外活動施設の利用を当面中止することを発表。活動はオンライン実施に限られた。

 

 東京大学新聞社が実施したアンケートでは、学生団体の45.2%が3月26日の発表からSセメスター終了まで、COVID-19流行の影響で活動を休止したと回答。文化系サークルの85.2%がオンラインで活動を続行したのに比べ、運動系サークルのうちオンラインで活動を行ったのはわずか6.7%。従来の活動内容によりSセメスター期間中の活動形態に差が出る形となった。一方、運動会所属の運動部のうち活動を休止したのは半数以下の42.1%で、52.6%がオンラインで活動を続行。オンラインの併用や東大外の施設を利用する形で対面の活動を続行したと回答する部も存在し、サークルと運動部の間で活動状況に差があることが明らかに。

 

 夏季休業の開始に当たっては、7月15日に大久保達也理事・副学長(教育・学生支援担当)がS2ターム終了日以降の課外活動再開を表明。29日には本部学生支援課が管理する施設(いずれも本郷地区キャンパス内)の利用が再開された。次いで駒場Ⅰキャンパス内の施設が8月6日から利用再開。8月28日現在では一部施設で利用に制限があり、入構可能なのは東大の構成員に限られる。東大生は施設の予約や入構申請を行うことで構内での課外活動が認められている。ただ、夏季休業中に東大構内で活動を行う団体は24.7%に限られた。さらに、COVID-19流行以前に東大の施設を使用していたと回答した八つの運動系サークルのうち、夏季休業中に東大の施設を使用するのは2団体にとどまるのが現状だ。運動系サークルからは「運動会の運動部が人脈を通して活動を再開する一方、一般のサークルには再開に関する具体的な説明がないなど著しく不公平」という声が上がった。

 

 

 対面の新歓を実施できなかった分、活動が十分に行えない、団体の存続が危機的な状況にあるという実態も明らかに。家族の同意を得られなかった部員が帰省、休部してしまった(運動会所属の運動部)など困難な活動状況を示す声も多い。一方で「新歓活動として非公式と称したバーベキューなどのイベントを実施しているサークルもある」(運動系サークル)「合宿を実施するサークルもあるようで、正直者がばかを見た気分だ」(文化系サークル)など団体によって活動の程度に差があることへの不満の声も上がった。

 

他大生入構禁止で打撃も

 

 

 夏季休業に向けて東大本部学生支援課から示された方針では、東大の施設を課外活動のために使用できるのは東大の構成員のみ。アンケートでも「初心者が多いため、技術獲得には、経験のある他大生との練習が不可欠。せめて普段練習に参加している他大生だけでも参加を認めてほしい」(運動会所属の運動部)など不満の声が上がった。

 

 学生支援課の担当者は東京大学新聞社の取材に対し「学内の入構制限措置で学外者の立ち入りを原則禁止しているため、課外活動施設の利用についても、同様の制限を設けている」と回答。「構内における課外活動の中止や再開に関し、学生や学生団体の意見を踏まえた議論や決定はどの程度なされたのか」という意思決定の過程に関する質問に対しては「新型コロナウイルス感染防止のための各種措置は社会の状況を踏まえて全学的に議論を行った」という回答にとどまり、直接的な回答を得られなかった。ただし、再開に際しては、学生団体の要望などを踏まえつつ感染拡大防止に関する全学の方針を示したとしている。

 

 課外活動に関する東大本部の決定に関しては、アンケートでも「感染対策の基準や対応が明確だった」(文化系サークル)「学生への信頼が感じられる」(音楽系サークル)といった好意的な意見が寄せられた。一方「なぜ感染者が増えたこのタイミング(S2ターム終了後)で許可を出したのか」(運動系サークル)など決定の妥当性に関する疑問の声も聞かれた。駒場Ⅰキャンパスを拠点に活動する運動会所属の運動部からは、同じ運動会の中でも本郷地区キャンパスを拠点とする一部の強豪団体ばかりが優先され「駒場は後回しにされた」のではないか、という公平性に関する疑念が上がった。

 

 本アンケートは東京大学新聞社が、8月16日から23日にかけてインターネット上で実施。学生団体の公式アドレスへのメール送付などで要請し、93件の回答を得た。


この記事は2020年9月1日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を掲載しています。

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