2020年度入学試験(前期日程・外国学校卒業学生特別選考)の合格者が3月10日正午ごろ、東大のウェブサイトで発表され、前期日程で3010人、外国学校卒業学生特別選考で36人が合格した。例年は合格発表当日の午後0時半ごろ、本郷キャンパス法文1号館と法文2号館の間で合格者番号が掲示されていたが、本年は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために中止された。
文科の合格者最低点はここ4年大きな変動がなかったが、本年度は全体的に下降。特に文Ⅱでは昨年度より20.5点と大幅に下降した(小数点第2位を四捨五入、以下同様)。昨年度は文Ⅱの合格者最低点が文Ⅰを超えたが本年度は文Ⅰ・Ⅲが文Ⅱの合格者最低点を上回った。文Ⅲの合格者最低点が文Ⅱを上回るのは13年度入試以来7年ぶり。
理科の合格者最低点は、昨年度理Ⅰ・Ⅱで15~20点の上昇を見せていたが、本年度は理Ⅰ・Ⅱ両方で10点以上下降。理Ⅰの合格者最低点は15年度入試から6年連続で理Ⅱを上回った。
全科類の合格者最低点は理Ⅱの313.0点(550点満点、以下同様)で昨年度から17.4点下降。理Ⅲのみ昨年度から合格者最低点が上昇したが、0.2点上昇にとどまった。
全科類の合格者最高点は理Ⅲの492.2点(昨年度比5.7点減)。理Ⅰ・Ⅱでは合格者最高点が昨年度より15~20点上昇した。合格者平均点が昨年度を上回ったのは理Ⅲのみで昨年度より3.3点上昇した。
本年は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、14~16年度入試を除いて恒例となっていた、本郷キャンパスでの合格者番号掲示が中止された。10日午後0時半ごろ、例年受験生やその家族でにぎわう本郷キャンパスは閑散としていた。
東大は同日、入試関連資料を公表した。資料によると、合格者における女性の割合は推薦入試で45.2%、一般入試で18.5%、外国学校卒業学生特別選考第一種で71.4%、外国学校卒業学生特別選考第二種で53.3%だった。全合格者では19.6%(昨年度比1.7ポイント増)で、9月入学のPEAK生も加えると20%に達する可能性があるという。合格者(前期入試、推薦入試)を出身校所在地別に見ると、東京の学校の出身者は35.2%(同1.5ポイント減)、東京を除く関東の学校の出身者は21.5%(同0.6ポイント減)で、いわゆる地方出身学生の比率がやや上昇した。
推薦入試は2021年度から1学校当たりの推薦可能人数増加
同日には入試監理委員会から、推薦入試の制度変更が発表された。一つの学校から推薦できる人数を、従来の「合計2人(男女1人ずつ)」から、2021年度入試以降は「合計4人(男女は3人ずつ)」とするという。ただし同一学部(医学部については各学科)への推薦は男女1人ずつに限られる。
東大によれば、推薦入試は東大として初の試みであるため、実施から5年を目途に必要な改善を図ることとしていた。推薦生や指導教員、高等学校にアンケート調査を実施し、その結果などを踏まえつつ、改善方策を検討してきた。高等学校などにおける受験希望者数に配慮しつつ、受験生の多様性を高め、学部教育の更なる多様化・活性化をはかるために変更したという。