3125人が入学した2019年度学部入学式が12日午前、日本武道館(千代田区)で挙行された。五神真総長と太田邦史(くにひろ)教養学部長が式辞を述べ、上野千鶴子名誉教授(認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク理事長)が祝辞を述べた。同日午後に、4496人の新入生が入学した大学院の入学式も行われた。
学部入学式の式辞で五神総長は、人類全体を巻き込んだ「激動の時代」にあって、異なる価値観や知識を持つ人々が協働し、多様なスケールの時間の流れが共存する大学にこそ、社会変革を駆動する責任があると述べた。その上で東大発のベンチャー企業「ユーグレナ」を、東大が社会変革を駆動した例として挙げた。新入生には「まず、踏み出すこと」を勧め、教員や図書館、国際感覚を養う授業や制度の活用を「明日から踏み出せる一歩」として紹介した。
太田教養学部長は、弱者に寄り添い、人類社会の幸福に貢献できる人間になることこそが教養を学ぶ目的だと語った。
上野名誉教授は祝辞の中で、学生・教員の女性比率の低さや東大女子の参加を認めないサークルを挙げ、東大も社会と同じく「あからさまな性差別」が横行していると批判。一方、東大は女性学を創始した自身をはじめさまざまな教員に開かれた、変化と多様性に寛容な大学でもあるとし、多様性から新しい価値が生まれると述べた。最後に、新たな知を生み出す知である「メタ知識」を獲得することが、大学で学ぶことの価値だとした。
入学生総代の永谷優磨さん(理Ⅲ・1年)は新元号「令和」に関連し「私たち自身が梅の花として花開く」と述べ「勉学に限らずさまざまな経験を積み、学んだことを社会に還元していく」と宣誓した。
各科類の入学者は文Ⅰ421人、文Ⅱ371人、文Ⅲ495人、理Ⅰ1178人、理Ⅱ559人、理Ⅲ101人の計3125人。女子学生は567人と全体の18・1%になり、昨年の19・5%から下降した。留学生は44人だった。
同日午後の大学院入学式では修士課程2927人、専門職学位過程331人、博士課程1238人の新入生の門出を祝った。うち留学生は638人だった。