二次試験まで残り21日だ。6日間連続で、6人の現役東大生に受験本番の思い出験を語ってもらっている。最終日の今日は、理科二類の2年生(当時)だ。 受験本番、知らない人とのちょっとした会話が…
九州地方から上京してきた私。親戚など当てもなく、本番1週間前くらいから一人御茶ノ水駅付近でホテル暮らしをしていました。 御茶ノ水駅からは本郷キャンパスの第二食堂前まで都営バスが出ていると知り、本番はバスを利用。
同じ停留所から受験生らしき男子学生がもう一人乗ってきました。彼もまた、私と同様無言でした。 教室に入ると、通路を挟んだ反対側の席にかわいい女の子が座るのが見えました。受験開始前からラッキー!(笑)そのおかげか、一日目の国語と数学は手応え良く終われました。 帰りのバスには、行きと同じ学生が乗っていました。思い切って話しかけてみると、受験する科類は違ったもののやはり東大受験生でした。同じ九州の、父の母校から今年受験した唯一の学生だそうな。話が盛り上がり、あっという間に到着。ホテルは違ったため、翌日の健闘を誓い合い、そのまま別れました。
2日目。午前中の理科の受験中に私には気になることがありました。揺れでした。隣の男子学生が貧乏ゆすりをしていると思い込み、休憩時間になって止めるようお願いしました(後に二人とも貧乏ゆすりをしていたと分かりました(笑))。彼もどうやら一人で不安だったらしく、昼休みを隣の学生と世間話で過ごす事態に発展。最後の受験科目、英語が終わるころには、互いのメールアドレスを交換までしました。
時は過ぎて3月10日。私の受験番号を含む連番が合格掲示板にあるのを見、私と同時に隣で受験した男子学生も合格したと知りました。高校からの友人が多くなかった私にとっての、東大での初めての友達でした。今でも、その付き合いは続いています。
バスで話しかけた学生も、かわいい女子学生も合格しなかったので、縁のある人で一緒に合格……とはなりませんでした。しかし彼らとの会話も、受験の原動力となったことは間違いありません。周りの人は競争相手だけれども、潜在的には友達のように感じました。 (理Ⅱ・2年:取材当時)