東大(キャリアサポート室、卒業生室)、卒業生団体の東京大学三四郎会、学生団体の東大ドリームネットが共同で企画・運営する「知の創造的摩擦プロジェクト」における交流イベント「交流会」が6月18日(土)、本郷キャンパスで開催され、現役東大生約250人と卒業生約140人が集まった。
交流会は年に2回開催される知の創造的摩擦プロジェクトの名物企画で、今回で22回目の実施。今回のテーマは「予定調和を崩す、勇気はあるか?」で、型にはまりがちな大学生活を変える契機とさせることが目的だ。貴重な卒業生との交流の場ということで、記者も参加してみた。
午後1時ごろに御殿下ジムナジアムの会場に向かうと、学生・卒業生合わせて約400人が座っている。学生は6人ごとに集まって座っており、隣になった人と話しながら開始を待っていた。開始に先立って東大の卒業生室長を務める古谷研理事・副学長があいさつし、「予定調和を崩すには何が必要か考えるきっかけとしてほしい」と述べた。また、今回の企画の統括を務める橋本欣宗さん(養・3年)は「この会の本質的な価値は前向きに絶望すること。せっかくの機会なので一皮むけちゃいましょう」と学生を鼓舞した。
その後はグループに分かれ、学生4人・卒業生2人でのディスカッションを開始。学生は配られた紙に書かれた「今挑戦していることは何か」「それを乗り越えるための壁は何か」といった質問に答える形で、この会への参加理由などを話した。
記者と同じグループで「挑戦したいことが見つからず進路が決まらない」と話したのは理Ⅰ・2年の学生Aさん。刺激の少ない日々を送っており、このまま何もしなかったらダメだと思っていたところ、Facebookで交流会の存在を知って「ぜひ行きたい」と参加を決めたという。学生が自らの参加理由を話すと、卒業生が「主体的に働くために大企業を辞めて転職中」などと自分のしてきた挑戦を語り、Aさんはその理由を細かく聞いていた。
初めのグループディスカッションを20分ほどで終えると、次々と入れ替わる卒業生の挑戦経験を聞くディスカッションを開始。毎回2人の卒業生が自身の経験を話し、学生がそれに対して質問してより詳しく聞くということを30分×4回繰り返した。最後は元のグループに戻り、各々の学生が今回の会で印象に残った話や具体的にこれから何をしていきたいかを話し、卒業生からフィードバックを受けた。
Aさんは「自分で積極的に動いてこのような場に参加することが大事だと分かった。明日までに行きたいインターンシップを5つ探す」と目標を誓った。終了後は懇談会の場が持たれ、学生は興味のある分野の卒業生らとの対話を楽しんだ。
ホテル経営者、ドラマプロデューサー、官僚……などなど、さまざまな形で日本社会をけん引する卒業生たち。そういった人に直接思いをぶつけられる今回のイベントに価値を見いだした学生も多く、参加した学生からは「参加するかどうか迷っていたが、的確なアドバイスがもらえてこんなに良い時間はなかった」「普段は会えないジャンルの人と交流できて刺激になった」といった声が聞かれた。記者にとっても、自分の将来の選択肢を考える上で良い機会となった。
統括の橋本さんは「緊張した。今日みんながいろんなことを感じて、自分の中で変化があればら統括冥利に尽きる」と振り返った。交流会は毎年春と秋の2回行われており、次は11月12日(土)に駒場Ⅰキャンパスで行われる予定だ。
(文・写真 竹内暉英)
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