待ちに待った憧れの大学生活
新しい友達の輪を広げようと
楽しそうにおしゃべりする集団に
近づいてみたけれど
話せない… コミュ力が欲しい…
—『コミュ力が欲しい』
何とも現代の大学生らしい心の声。「コミュ力」とはコミュニケーション能力の略のことで、ここ数年大学生の間でよく耳にする言葉だ。初めて会う人でも自然に話したい。だけど話せない、「コミュ力」が欲しい…そんな歌を歌う6人組東大生バンド、彼らの名は「男子校」。
メンバーは杉渕優也さん(理4年) 杉本賢勇さん(工3年) 中谷剛さん(工4年) 西村史陽さん(教養4年)村山裕哉さん(工4年) 吉村 康佑さん(農3年)。東大の合唱サークルで出会い、全員が男子校出身であったことから「何か面白いことをやってみようぜ」とオリジナルバンド「男子校」を結成した。今年で結成4年目となり、五月祭や駒場祭でのパフォーマンスのほかライブハウスでの演奏も行う。
君は一人なんかじゃないよ みんなツイッターしてるから
ほらごらん 寂しがり屋の君のツイート数は 指数関数式に増えるよ…
—『一人じゃないよ 〜SNSの魔法〜』
外出のために 開発されたのに
自宅でも使う
連絡用なのに 通知が無くても
つい開いてしまう oh
—『充電器ブギ』
一人じゃないよ〜SNSの魔法〜動画
大学生であればどこか自分に身の覚えのあるようなフレーズを、彼らは軽妙なリズムと共に歌う。話題が尽きてしまう、会話に入るタイミングがわからない、滑舌が悪い…とコミュ力の無さを嘆く『コミュ力が欲しい』や、携帯の使いすぎで充電が切れ、友人との待ち合わせ場所がわからなくなる自分を嘲笑する『充電器ブギ』。なぜかすべてクスリと笑えてしまう曲ばかりである。誰もが感じてはいるが、普通なら内輪でしか話題にならないようなことを音楽で表現されることで、聴く側は「あるある!」と感じて聴き入ってしまう。一方で『一人じゃないよ〜SNSの魔法〜』にある「ツイートが指数関数式に増える」などといった表現はなんだか東大生っぽくて面白い。
「『しょうもないことを真剣に』が僕たちのモットーです。各々が日々思っていることや、観察して思ったことなどを歌詞にまとめあげ、皆で曲を作っています。バンド名のとおり、中高の男子校の延長線上のようなノリでとにかく面白いことをやりたいんです」とバンドのリーダー的存在である中谷剛さんが言う。
「結成から3年目くらいに、同じくバンドをやっている知り合いに呼ばれてライブハウスで演奏したところ、お客さんやライブハウスのスタッフさんのウケがよく、他の場所にも呼んでもらえるようになりました。他の人がやってないような曲をやっているので面白がってもらえたんですかね」とギター・ベース担当の村山裕哉さん。現在は代々木を中心に月に1〜2回程度ライブに出演している。
先月までメンバーの大学院進学試験のため活動を休止していたが、10月から活動を再開した。10月11日には早速復活ライブ「放課後サーカス」を行うという。いかにも「男子校」らしい響きのタイトルである。
「学業が最優先ですが、いけるところまでいきたいです。もっといろんな場所で演奏してみたいし、ハープとかリコーダーとか面白そうな楽器を組み合わせたりしたいです」と中谷さん。思いついたら何でもやってみるのがこのバンドの特徴らしい。ハープやリコーダーで奏でる男子校の「しょうもないけど真剣」な曲、聴いてみたい。
男子校ブログ:http://danshikoh.blog.fc2.com/
Youtubeチャンネル「男子校」 :https://www.youtube.com/channel/UCvw_KjMyTg7Kb5bGUk6z3fA
(文・インタビュー 新多可奈子)