森山工教養学部長は7月28日、前期教養課程のSセメスター・S2タームの試験から、新型コロナウイルス感染が疑われる場合の代替措置を撤廃したことに関する主旨について、声明を発表した。成績の公平性を確保することに主眼がある対応だとし、学生に対して代替措置廃止への理解と協力を求めた。
廃止の最大の要因として挙げたのは、東大の進学選択制度への影響。特に濃厚接触者の公的証拠書類の入手が困難な感染拡大期においては、代替措置申請の真偽判断が難しく、代替措置の虚偽申請を防ぐ有効な手段もない。学生の申請が虚偽である場合、より長時間の学習時間を確保した上で定期試験同様の100点満点で評価される機会が与えられることから、成績の公平性が欠如してしまうと説明した。
第二に、活動制限が緩和されたことに言及。本年度から原則的に対面授業を実施するなど、学内での活動制限が緩和された。定期試験での感染リスクが低下し、他の病気により定期試験を欠席する学生と整合性を取る必要が生じたという。そのため、新型コロナウイルス感染による試験欠席と他の病気など不測の事態による試験欠席を同様の扱いにすると決定した。
今学期の定期試験における代替措置を行わないと発表したのは6月6日。教養学部学生自治会が学部宛てに措置の継続を求める要望書を提出したが、教養学部は再検討を行わなかったため、自治会が各教員に試験救済措置を要請する動きに出た。7月14日には教養学部が、濃厚接触者に公的文書なしでの追試験(一部の基礎科目などのみが対象で、通常、点数の上限が75点の「受験資格A」)の申請を認めると発表していた。
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