東大は12月23日に、3回目となる大学債を、サステナビリティボンドとして110億円発行する。年限は40年で、利率は年2.877%。
愛称は「UTokyo Compass債」。藤井総長が掲げる東大の基本方針「UTokyo Compass 2.0」に基づき①次のノーベル賞級の発見を目指すハイパーカミオカンデ計画(素粒子ニュートリノの観測実験)の推進 ②温室効果ガスの排出量削減に向けたキャンパス整備 ③D&I推進拠点となる新棟の設置 ④DX(デジタル・トランスフォーメイション)による研究者の事務負担軽減─などに充てる予定だ。
もともと国立大学の債券発行は、附属病院など直接的な収益を見込める施設の建設にのみ認められていた。東大の提案もあり20年6月に要件緩和が実現。東大は20年と21年にソーシャルボンドとして合計300億円の「東京大学FSI債」(利率は約0.8%)を発行し、20以上の金融機関や三つの自治体などから投資を受けた。今回は国債の金利上昇に伴いこれまでの3倍ほどの利率に設定。今後、最大190億円の追加発行を検討している。
サステナビリティボンドとは社会・環境問題双方の解決に用途を限定して発行される債券。「東大FSI債」は社会問題の解決に用途を限定するソーシャルボンドだった。東大が大学債をサステナビリティボンドとして発行するのは初。