文部科学省の国立大学経営に関する検討会議は19日、国立大学が発行する債券「大学債」について、発行要件を緩和する同省の方針を承認した。会議の委員である五神真総長の要望が通った形だ。
現在の国立大学法人法では、大学債の発行は付属病院や寄宿舎の整備など、直接的な収入が確実に見込める事業でしか認められていない。そのため、教育研究事業のための土地取得や建物の整備など、直接収益に結び付かないものの大学として重要な分野への投資が困難だった。
五神総長の要望が認められたことで文科省政令が改正され、大学全体の余裕資金を原資とした債券発行が可能となる見込み。東大の担当者は東京大学新聞社の取材に「日本は大学に投資できる財政状況にない。しかし、企業の内部留保や個人資産の投資先として大学を活用してもらえれば、大学が社会変革を起こすことができる。東大が先行して国立大学のモデルになる必要がある」とした。
東大は2019年に格付投資情報センターから、日本国債と並ぶ発行体格付け「AAプラス」を取得するなど、大学債発行要件緩和に向け、準備を進めていた。早ければ21年度にも大学全体の余裕資金を原資とした債権を発行する予定。政令改正だけでは対応できない人件費・研究費目的の債券発行に向け、今後は法令改正を要望するという。
この記事は2020年3月31日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を掲載しています。
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