11月7日(金)に東京大学本郷キャンパスにて、映画『ショート・ターム』の試写会が行われる。児童養護施設を舞台にしたこの映画は、実名レビュー評価サイトRotten Tomatoes(ロッテン・トマト)で満足度99%(2013年1位)を記録するなど、世界で高い評価を受けたヒューマンドラマだ。
試写会後には、デスティン・クレットン監督と、児童養護の現場で働く梶 愛さんとをお呼びして、児童養護の現状や映画の魅力、『ショート・ターム』の制作秘話を語っていただく。
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映画『ショート・ターム』を手がけた、デスティン・クレットン監督は本作が二度目の長編作品となる。児童養護施設を舞台にした映画を撮った理由や、製作にあたっての困難について聞いた。
――児童養護施設が舞台の映画を撮ったわけは?
私はかつて、虐待などの危機にある子どもたちをケアする施設で2年間働いていました。その日々は、私にとって人生の大きな部分を占めていて、自分自身や世界の成り立ちについて、多くの物事を教えてくれた経験だったのです。今回の映画の撮影を通して、その日々に立ち返ることができたのは、とても素晴らしいことでした。
――『ショート・ターム』の撮影で最も困難だったことは?
『ショート・ターム』の撮影には多くの困難がありましたが、十代の登場人物を的確に演じることのできる俳優を見つけるのが最も難しかったです。良い映画を作るためには、登場人物が直面し心に抱いている葛藤を、真に理解することのできる感受性を持った若手俳優を見つけなくてはなりません。
ケイトリン・デヴァーや、キース・スタンフィールド、アレックス・キャロウェイ、ケビン・ヘルナンデスといった全ての若手俳優は、彼らの演じる役に対して細かな気配りと共感を持って、本物の演技をしようとしていました。彼らと出会えたことは本当にラッキーでした。
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――実名映画レビューサイトRotten Tomatoes(ロッテン・トマト)で高い評価を受けている理由は?
そういうことにはあまりこだわらないようにしていますが、多くの人が映画を観てくれて本当に嬉しいです。このような高い評価は、素晴らしい俳優たちの誠実な演技のおかげです。若手の俳優もプロ意識が高く、下調べを怠らない。コミュニケーションを円滑に取りながら、本物の演技を一緒に追求することができました。ブリー・ラーソンや、ジョン・ギャラガー・Jr、ラミ・マレック、ステファニー・ビートリズといった素晴らしい才能を持った俳優たちと、いつかまた仕事がしたいと思っています。
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デスティン・クレットン監督は次回作で、女優ジェニファー・ローレンスが主演とプロデューサーを同時に務める『The Glass Castle(ガラスの城の子どもたち)』(原作:ジャネット・ウォールズ)を監督すると報じられている。「今後も、この面白さと悲しさと美しさに満ちた世界を表現し続けたい」と語るクレットン監督に、日本の若い世代と交流することについて聞いた。
――日本の若い世代と交流することについて
日本で十代の若者たちと接することができるのをとても楽しみにしています。映画を観てどう思ったか、そして自分たちの人生と、この映画とがどう関わりあっているかについて語り合いたいと思っています。
11月7日(金)に本郷キャンパスで行われる『ショート・ターム』試写会では、映画の上映後、クレットン監督と、International Foster Care Allianceの梶愛さんとのトーク・ショーを予定している。
映画の制作秘話や、若い世代が抱える葛藤について、参加した学生を交えながら議論する予定だ。
(取材・文 須田英太郎)
11月15日(土)より、新宿シネマカリテ/