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2020年11月28日

新型コロナ 初期流行型に比べ感染力・増幅力増す

 河岡義裕教授(東大医科学研究所)らは、現在流行している新型コロナウイルスの変異型が、初期に流行した野生型に比べ、強い感染力や増殖能力を持つことを発見した。成果は11月12日付の米科学誌『サイエンス』(電子版)に掲載された。

 

 変異型はウイルス表面のタンパク質が変異している。先行研究では、この変異により変異型が宿主の細胞と結合しやすいことが明らかになっていた。しかし、変異がウイルスの感染力や増殖特性に与える影響は解明されていなかった。

 

 河岡教授らは変異型と同じ変異を持つウイルスを人工合成。ハムスターに感染させ、近くのケージに入れたハムスターへの飛沫感染の有無を調べた。野生型のウイルスについても同様に実験し、変異型と比較したところ、2日後の時点で変異型に8匹中5匹が感染したのに対し、野生型に感染したハムスターはいなかった(図)。ここから、変異型は野生型と比べ短時間で飛沫感染すると分かった。

 

 

 別の実験で、河岡教授らは変異型と野生型の混合ウイルスをハムスターに感染させ、増殖性を比較。変異型の増殖が優位となり、高い増殖適応性が示された。これらの結果は、変異型が野生型を凌駕し世界中で蔓延している現状を裏付ける。

 

 病原性については野生型との差は見られなかった。このことから、野生型を基に開発中のワクチンも、変異型に効果を持つことが期待される。

 


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