東大生協本郷書籍部で購入された書籍の冊数ランキングから、東大生の興味を探る毎年恒例の本企画。昨年度は、2年連続総合1位に『ゼロから作るDeep Learning』(オライリー・ジャパン)が輝くなど、一昨年に引き続き人工知能関連書籍への関心がうかがい知れた。2018年8月〜2019年7月のランキングはどのようになっているのだろうか。
AIの人気続くー総合
【総合】
1位に輝いた『FACTFULNESS』(日経BP)は、最新の統計データを基に、幅広い分野における世間の勘違いを正し、世界の正しい見方を分かりやすく説く。数式や難しい経済用語は登場せず、直感的理解が可能だ。
一昨年からの人工知能関連本の人気は続き、2位には『ゼロから作るDeep Learning』(オライリー・ジャパン)がランクイン。
3位の『大学の未来地図』(筑摩書房)は五神真総長の著書。デジタル革命以降劇的に変化する社会での大学の役割など、全く新しい大学論を展開する。
【新書】
総合3位の『大学の未来地図』が1位に輝き、続く2位は『日本軍兵士』(中央公論新社)。豊富な資料の基で、アジア・太平洋戦争の激烈な肉体的・精神的実態を兵士視点で緻密に描いた一冊だ。
3位には『文系と理系はなぜ分かれたのか』(星海社)がランクイン。文理区分誕生の歴史を追い、その上で受験やジェンダーにまつわる現在の文理区分の問題について考察する。
【文庫】
1位は昨年3位の『東大教授が教える独学勉強法』(草思社)。著者の独学経験を基に、勉強の各行程の具体的な方法を説き、正しい学び方を教える。
2位は昨年2位の『思考の整理学』(筑摩書房)。著者独自の思考エッセンスの下、自分でアイデアを生み出すヒントや考える楽しさを教えてくれる。
3位の『日英語表現辞典』(筑摩書房)は、英語・日本語における考え方や感じ方の違いを説く。自分の伝えたいことを英語で表現できるようになる一冊だ。
【文芸・一般】
1位に輝いたのは『東京大学本郷キャンパス』(東京大学出版会)。古写真や建築資料と共に、本郷キャンパス140年の歴史を紹介する。
英単語習得法として語源を学ぶことの有用性を説く2位の『英単語の語源図鑑』(かんき出版)では、重要単語が語源ごとに分解され、イラストと共に800個の単語を習得できる。
続く3位の『愛なき世界』(中央公論新社)は、風変わりな理系の人々と料理男子が織りなす、恋と不思議の青春小説だ。
【人文社会】
総合ランキングでも1位になった『FACTFULNESS』に続き2位に輝いたのは、学生・教員から絶大の支持を誇る『博士号のとり方』(名古屋大学出版会)。博士論文の執筆計画の立て方や教員との関わり方を分かりやすく解説する一冊だ。
3位にランクインしたのは、『ホモ・デウス 上』と『ホモ・デウス 下』(河出書房新社)。売り上げ1200万部を突破した『サピエンス史』の著者ユヴァル・ノア・ハラリが、我々の戦慄(せんりつ)の未来を予言する。
この記事は2019年10月1日号から転載したものです。本紙では他にもオリジナルの記事を公開しています。
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