本日は、諸先生方、ご来賓の方々をはじめ、多数の皆様の御臨席の下、このように盛大な式典を催して頂き、卒業生を代表致しまして心より御礼申し上げます。また、五神総長より告辞のお言葉を賜りましたこと、重ねて御礼申し上げます。
私は三年前に、工業高等専門学校より東京大学工学部に編入学しました。通常の学生と異なり、前期教養学部を半年、工学部を二年間半過ごしました。中学校卒業以来、工学の道を歩んできた私にとっては、前期教養学部は自分の興味の赴くまま、学問に触れる機会を与えてくれた素晴らしい時間でした。また、前期教養学部で出会った友人達は、みなそれぞれが自分の得意分野を持っており、雑談一つですら有意義な知識を得ることができる貴重な時間でした。
後期課程では、それぞれが自分の興味、そして志の下、専門の道へと進んでいきました。私は、世界を技術で変えるという信念の下、工学部電気電子工学科に進学しました。学科同期はみな、強い意志と大きな夢を持っており、日々互いを励ましあいながら勉学に励みました。卒業研究では、日常の電子機器を構成するナノデバイスから革新をもたらすという意志の下、デバイスの研究を行いました。材料から吟味し作製していくデバイスは失敗の繰り返しで、教授や先輩方、同期からの助言や励ましは、私を強く支えてくれました。
昨今、日本を取り巻く社会情勢は日々、刻々と変化を続けており、昨日の当たり前は、今日も当たり前とは限らないくらい変化しています。その中で、科学は絶え間なく発展を続け、昨日までの常識を打ち破ることで今日の私たちの日常があります。私たちは、この四年間で得た知識・経験、そして志をもとに、先代が作り上げた昨日までの当たり前を、今日、今私たちが新たに打ち破っていかなければなりません。四月から就職する者、研究の道に進む者、様々な進路があります。明日からの道は違えど、みなそれぞれの信念に従い、常識を打ち破り、次の時代を築いていくという使命を全うしていく所存であります。
最後になりましたが、今日まで御指導頂いた諸先生方、職員の皆様方、共に切磋琢磨した友人、先輩、後輩の皆様、そしていつも私たちを温かく見守り支えてくださった家族に、重ねて心より御礼を申し上げます。皆様の御健康と東京大学の更なる卓越を祈念いたしまして、答辞とさせていただきます。
卒業生総代 工学部 金田真悟(かねた・しんご)
【関連記事】