東大は4月4日、2027年9月に設立する学士・修士一貫型の新課程「UTokyo College of Design」について記者会見を開き、計画の詳細を明らかにした。約70年ぶりの学部新設という位置付けで、マイルス・ペニントン教授(東大大学院情報学環)を学部長に充てる。100人を入学定員とし、外国・日本人学生をそれぞれ50人程度とする。入試の方法については検討中で、書類や面接などで総合的な判断を行う予定。
UTokyo College of Designは学士4年・修士2年からなる教育プログラムで、成績優秀者は5年での修了が可能。世界中から学生を集めるため、全面英語授業・秋入学が予定されており、藤井輝夫総長は「東京に国際的な学びの環境を作る」と意気込む。具体的には(図)のカリキュラムが予定され、教員も世界中から集められる。
(図)既存の学部とは異なる新カリキュラムが構想されている(東大の発表を基に東京大学新聞社が作成)
「デザイン」を柱としつつ、既存の各学部の幅広く専門的な知識を織り交ぜたプログラムを提供していく。「デザイン」とは、銀行や食品流通、交通などの社会システムの在り方を考えるような「未来の社会そのものを作っていくという意味でのデザイン」(藤井総長)。年次に応じたカリキュラムが用意され、修了年次には一般向けの発表展示会も行う。
(写真1)発表展示会について説明するペニントン教授。外国人学部長は開学以来初となる(撮影・金井貴広)
学問分野横断的な学びとしては、初年次に各学部の基礎に当たる内容を展開し、2年次以降で「Emvironment&Sustainability」(環境と持続性)や「Technology Frontiers&AI」(テクノロジーの最前線とAI)など5種類のカテゴリーを持つ選択科目を提供する。加えて、4年次には最大1年間の「Off-Campas Experience」が組み込まれ、海外留学や、企業・スタートアップでのインターンへの参加などの経験を積むことを要求する。
学びの場所としては、本郷地区の浅野キャンパスにある旧情報基盤センター本館を改修して拠点とする予定。1年次には全寮制が採用され、目白台インターナショナルビレッジを使用する。
UTokyo College of Designは2026年秋に募集が開始される。いわゆる入試の方法に当たるアドミッション・システムは現在検討中だが、現行の一般選抜などと異なり筆記試験は課さない方針。国籍なども含め、多様な学生が来るようなシステムを目指し、概要は今年7月ごろに示すことを目指している。
構想は文部科学省に申請中で、今後変更が生じる可能性がある。取得可能な学位の名称や学費などについても、現在は検討の段階にある。東大は4日に専用のウェブサイトを公開しており、情報の発信を行っていく。
(写真2)藤井総長(左)とマイルス・ペニントン教授。生産研で共に働いた経験を持つ(撮影・金井貴広)