東大情報基盤センターは11月5日、ECCSクラウドメールのサービス上で11月1〜2日に発生した障害の原因を明らかにした。Google社の販売代理店が、期限内のライセンス更新を完了できなかったことが原因だという。同期間にはファイルのアップロード、編集ができないなどの不具合が生じていた。情報基盤センターと教養学部がこの障害に関し東京大学新聞社の取材に答えた。
情報基盤センターによると、東大は「Google Workspace for Education」の有料サブスクリプションのライセンスを代理店経由で購入している。従来の契約が満了し、11月1日から新たな代理店との契約に移行する予定だった。その際にサブスクリプションを引き継ぐ必要があったが、東大側での手続き後、新代理店が期日までに更新を完了できず契約が失効した。そのため東大に提供されているGoogleドライブのストレージ容量追加分が停止され、書き込み操作などができなくなったという。
情報基盤センターは1日午前0時21分ごろに、契約が10月31日付で終了した旨のシステム通知を受信(表)。utelecon(情報システムの総合案内サイト)の学生サポーターからの連絡で担当者が障害を把握したという。1日未明に代理店に対応を依頼。昼からはuteleconなどに1時間ごとに状況を掲載した。障害の長期化が予想された夕方には、オンラインミーティングを開き、重大事故であるとの認識を学内関係者と共有した。障害は一度解消したものの、再び2日深夜に障害が確認され、再度代理店やGoogle社のサポートに対応を依頼した。
情報基盤センターは再発防止策として、新たな代理店のGoogle社への更新リクエストに遅延が生じないよう、契約満了日の1週間以上前に東大からもリマインドメールなどの注意喚起を行うとした。
教養学部は1日午前9時10分ごろに情報システム担当チームへ職員から報告があり、午前9時15分ごろの東大本部からのメールを受け、全学的な障害の発生を把握した。午前9時45分ごろには専攻事務を通じて各教員にも連絡した。障害のため課題が提出できなかった学生がいることを受け、障害の発生状況に関する教員への連絡を予定している。
雨宮智浩教授(東大情報基盤センター)は「24時間の体制を整え、本学関係者と販売パートナーとが一丸となって障害解消に当たった」と振り返る。uteleconと情報基盤センターの連携が「今回のような緊急時でも機能したことは評価に値する」とした。併せてuteleconの学生サポータが夜間や休日にも情報集約や記事執筆に協力してくれたことに感謝を表明した。関係者に向けては不便をかけたとして謝罪。教職員には「障害発生により学生のレポート作成や提出などに影響が生じたことを考慮し、学生が不利益を被ることのないよう」配慮を求めた。